「離島で生きる」- さびせいじ -

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「島での暮らし」を想像したことのある方は、意外と少なくないのでは。都会での生活に少し疲れてしまった方も、自然豊かな環境に憧れている方も、この記事で「島での暮らし」をちょっぴり覗いてみませんか?

水泳の授業は学校横の海、ペットは道で拾ったカメとクワガタ。信号もなければコンビニもない。自由と不自由が同居する離島での生活は、幸せなのか不幸なのか。車3台で渋滞していると感じる、ネイティブ島人が考える離島の生活をお伝えします。

生きることに直結した島の生活

水平線から昇る朝日と、島影に沈む夕日が特に美しく、漣(さざなみ)の音を聞いては忙しい日常を忘れる。そんな島の生活は海と共にあります。

虫や鳥の声があふれる島では、自然との距離が近く、命の営みを身近に感じることができます。また、島での生活は、そうした命を日常的にいただく、絶好の食育の場でもあるのです。

島の生活というと、のんびりとしたイメージがありますが、普段の仕事に加えて畑の手入れや家の手入れ、地区の活動や草刈りなど、実際は意外と忙しいものです。

人や物、そしてサービスが少ない島では、足りない部分は協力し合い、自分たちの力でカバーする必要があるからなのです。

生活に必要なものは海で調達

島の魅力は何といっても海が近いことです。海は私たちに、さまざまな物を運んできてくれます。魚や貝に海藻といった食材の他に、サッカーボールにビーチボール、未使用のバーベキュー網にスイミングゴーグル、なぜかクッションまで。子供たちが海で拾ってくる物は、じつにバラエティーに富んでいます。

流木や貝殻、シーグラスはリメイクの材料として利用しますし、先に紹介したものはすべて、今でも我が家で再利用され、現役で役立っています。一見優雅に見える海辺の散歩ですが、島で生活している者にとっては、物資を調達する場でもあるのです。

島の人は個性的

島のお年寄りたちは、みな個性的で働き者です。

隣近所で共有している情報が多いため、とりつくろう必要がなく、個性が出しやすいのだと思います。しかし、人口が少ないからといって、揉めごとがないわけではありません。それでも長引くことは少ないのは、相手の事情や思いも知っているため、意地を張っても仕方ないと皆思っているからです。

そして、すぐそばに見える隣の島でさえ文化やしきたりが異なるため、島ごとに特徴のある言葉や生活が引き継がれているのも、魅力のひとつです。

島に住んでいる人たちは、家系はもちろん誰がどこの地区に住んでいるか、おおむね知っていますし、若者とシルバー世代が同じ作業をする機会も多くあります。たとえば、祭りなどの行事は、年代を越えて人と文化をつなぐ役割を担っています。

礼儀さえ欠かなければ、年長者は若者の意見を受け入れる懐の深さを持っていますし、教えてほしいという気持ちを伝えれば、こちらが「この辺りで大丈夫です。」というまで教えてくれます。

忍耐力も体力も私たちを上回るため、若者の方が先に音を上げてしまうことも、しばしばあります。

どうしても!という時には「船の時間がありますので。」と言えば、波風たてずに「おいとま」することができるでしょう。

個性を切り取るライフワーク

写真を撮ることをライフワークとしている私たち夫婦にとっては、島の風景や個性豊かな人々の生活は大変おもしろいものです。

船で通う学生、野良仕事をする島の人々、水着姿でスーパーに買い物に来る子どもたち、船のへさきで光る夜光虫、沖の岩で羽根を休めるカモメや海鵜。どれも、ここにしか見ることのできない魅力であふれています。

島という限られた場所では、撮る側と撮られる側の距離が近く、その人の「人となりや空気感」を切り取り、残すことができます。また、島特有の景色と日に焼けた笑顔や歴史が染み込んだ指先は、魅力的な被写体となるのです。

幸か不幸か 感じ方は住んでいる人しだい

都会での暮らしを経験し、この島にUターンした私たちにとって、島での生活は以前と同じとはいきません。島は何をするにもお金と時間がかかります。昔に比べると交通は便利になりましたが、島に渡る唯一の手段は船のみです。

船が出ない夜間や霧の季節は島に閉じ込められますし、レストランやコンビニもありません。日用品を手にいれるのにも、病院へ通うのにも船で渡る必要があります。車の運賃は高いため、たびたび渡ることは難しく、まとめて終えるなどの工夫が必要です。

また、話題の少ない島では、噂話はすぐに広まりますし、時間を問わず人が訪ねてくるため、都会に比べるとプライベートは保たれません。都市部では感じることのない「不自由さ」が島のくらしにはあります。

一方で「そうだ。泳ぎに行こう。」と思いついたら海へ徒歩で出かけ、「写真を撮ろう。」と思いついたらカメラを掴んでライフワークに出かけられる島の「自由さ」は島という環境だからこそです。

島ではみんなが顔見知りのため、犯罪は極端に少なく、留守中に家の鍵をかけなくても平気で外出しています。そのため、知らない間に玄関に野菜や海藻が置かれていることが、しばしばあります。また、子どもだけで遊び、荷物を置いたまま走り回っていても心配いりませんし、待機児童問題もどこ吹く風です。

何かを得れば、何かを失う。何を自由と感じ、何を不自由と感じるかで、幸せなのか不幸せなのかは変わってくるでしょう。すべては住んでいる人しだい。そんな離島での生活を、あなたならどう感じるでしょうか。
著者名:さびせいじ

瀬戸内海の島でフォトグラファーの夫と住む二児の母。
写真館を営みながらカメラ・写真に関する記事のほか、不登校について書いているWebライター。
Canonの1DXは「主婦をもフォトグラファーに変身させる最強のカメラ」だと思っている。








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