日本にある芸術性の高い建築物~日光駅~- アートノミクス -

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日光に観光に行く際、注目度が高いのはやはり日光東照宮。それはそれとして、たまには「日光駅」にも注目してみませんか? 一口に「駅」と片付けてしまうには勿体なさすぎるエピソードが満載なのです。

「名建築、日光駅が生まれた時代背景」

日本に数多ある駅舎のなかでも、北関東を代表する魅惑の駅舎が栃木県にあるJR日光駅です。
現在の1日平均乗降数は876人。初開業は明治23年(1890)、開業当初より国鉄の管掌でした。明治末期に撮影された初代駅舎の古写真をみると、伝統的な日本瓦葺き屋根に、下見板張と思われる木造建築という様式になっています。
明治の頃から多くの外国人観光客が避暑地や観光で訪れた土地柄であることを考えると、その古色蒼然とした姿はとても意外に感じることでしょう。


「日光駅のココが面白い!」

それから明治45年(1912)になると、駅舎は姿を大きく変えた2代目日光駅へと変遷していきます。
先代とは全く姿が異なる、ネオ・ルネッサンス建築と呼ばれる様式を取り入れた優雅で美麗な姿は、現在まで多くのファンを生み出しています。 延べ床面積862.9平方メートルという規模であり、初代と同じ木造建築とはいえ、以前とは変わって、見上げるほど高い天井を備えた木柱と白漆喰のハーフティンバー構造を採用しています。ファサードを飾った車寄せ場所を見上げた上部には、半円形の採光窓を取り入れることで、格子状の縦長の窓との鮮やかなコントラストはオールド・クラシックな気品に満ちています。
またスレートという屋根葺き材を使用して作られた寄棟屋根は、左右対称の箱型駅舎を西洋にも引けを取らない城館のような格式を建物から感じさせることへ成功しています。
広いスペースの車寄せを支えるのは大理石の台座から伸びる6本のスリムなオーダーです。
この縦のラインの効果によって、建物全体の気品や余裕を余すことなく印象付けられます。


「日光駅を巡るミステリー」

では誰が2代目の日光駅を設計したのかというと、設計者は不明。
最近、駅の一部で大谷石の使用を根拠に建築家フランク・ロイド・ライトの設計ではとも噂されたものの、当時のライトの活動状況や鉄道院(戦前の日本にあった国家行政機関)との接点が見当たらないことなどから、否定的な見解が多数を占めています。
なぜこのような意見があったのかというと、当時の日本の近代建築は明治政府を主体として建設活動によって大きく展開していきました。
その初期段階において日本に西洋建築を実現させる役目を担ったのが外国人技術者や建築家であったからです。
また、ほぼ同時期に建てられた旧博多駅(明治42年)や門司港駅(大正3年)との影響関係を指摘する声もありますが、詳細に検討していくと2代目日光駅との類似点が少ないことが見えてきます。
まず、このような駅舎は日光駅以前にはなく、日光駅以降にも建設されることがありませんでした。
それゆえに出自不明の謎めいた建築物として、一層のロマンを感じずにはいられないのが日光駅の面白さでしょう。


「ホワイトルームとシャンデリア」

駅の階段を上った2階には、シャンデリアを備えたホールやホワイトルームがあります。
このホワイトルームは現在、各種のイベントに際してのみ公開されています。
広い車寄せの格天井には音を反響させる仕掛けが施されており、別名「竜の鳴き声」として地元の方に愛されています。このホワイトルームを象徴する豪華なシャンデリアは、明治の空気をそのままに、現在も美しく保存されています。


「日本人建築家と文化的象徴のメダイヨン」

このように明治時代の建築は日本人建築家による西洋建築理解の展開、という時代に突入していきます。
特に国立の最高学府であった工部大学校造家学科は建築教育の舞台となり、明治12年に辰野金吾ら4人が初めての卒業生になっています。そういった時代背景を知ると、日光駅の魅力がさらに増していきます。

また明治の建築という観点から見逃せないのが「メダイヨン」です。
このメダイヨンとは、円形、またはそれに近い形の枠で縁取られた装飾のことを指します。
そして建築におけるメダイヨンとは、建築的装飾でありながら、同時に最も建築的でない装飾でもありました。
なぜなら柱と柱の壁面、アーチの下部などといった、建築的な空白を埋めるモチーフとしての役割を担っていたからです。
だからこそ難しくも建築家にとっての腕の見せ所でもありました。
なぜならこのメダイヨンに描かれるべきモチーフは建築以外の文化的象徴であったからです。
この性質からメダイヨンは日本人建築家にとって、最も習得が難しい対象でした。
単に日本建築の装飾要素を採用することでは成立せず、かといって西洋の真似もしにくい。
これは日本初の近代社会というある種の時空を超えたリアリティの欠如からくるものでもあり、日本人建築家にとってどう文脈を見出すのか、とても難しい分野だったはずです。
それを見事に、リズミカルで華やかな日本の近代建築へと昇華させているからこそ、日光駅が今もなお評価され続けている理由でしょう。


「今日も愛され続ける日光駅」

現在も日本国内に留まらず、外国人観光客の多くが訪れる日光市。
その玄関口として日光駅は多くの方に愛されています。
関東の駅100選にも選ばれており、日光観光の出発点として、とても美しい印象を持つ方が多いのです。
その他にも日光の社寺は世界遺産に登録されており、日光駅と合わせて楽しんでいただける歴史ある町並みを形成しています。古今東西、様々な美意識が渾然一体となって、今日の日光駅の魅力を形作っているのです。 この名建築を訪ねて、当時の時代に想いを馳せるのも歴史あるこの駅舎の醍醐味ではないでしょうか。






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著者名:アートノミクス
経済&アートライター。資産運用とアーティストの作品を収集するのがライフワークです。
どちらも長期投資で成長していく過程を眺めるのが好きです。
「経済とアートの関係」に興味を持っています。

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