音大生の考えごと/備忘録(最終回)- さゆみ -

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「現役音大生」のさゆみさんから日頃感じていることを教えて頂く連載最終回!ここまでを踏まえて、ズバリ彼女にとっての「音楽」とは。また、一表現者である彼女から皆さんに伝えたいメッセージとは。

第2回では「私なりの音楽との関わり方」をお話ししました。
③の項目の「音楽が発表される場を増やす」ことに関して第2回ではみ出してしまったところを第3回ではフォーカスしつつ、音楽のこれからに対して一個人の私がしたいこと、考えていることをシェアしていきます。

ちょっと寄り道、音楽を語らせてくれ

当初は「音楽がもっと広がるために」というテーマでお話しようとしていましたが、どうして私が音楽を広げたいと思うか、そもそも根幹にある「音楽への想い」をしばし語らせてください、ちゃんと主題には戻ります。

私は、、音楽が本当に好きです。

「分かってるよ、だって音大生やってるんだから」

という声が飛んできそうですが、本当に音楽が好きです。

私は声楽科なので「歌っている時、舞台に立つ時」あの瞬間が人生で1番好きな瞬間です。

舞台に立つあの高揚感、キラキラ感、舞台の匂い、自分の歌声がホールの隅々まで届く感覚、拍手の音、スポットライトの熱さ・眩しさ、わずかに見えるお客様の笑顔、全部全部を義務教育にして皆に体感してもらいたいくらい幸せな瞬間でスペシャルなひと時です。

「音楽は感覚」と言われるものですが、たしかになぜ私がこんなに好きなのか言語化するのは難しいです。

ただ、なんとなくそれっぽい言葉で表現するとしたら

「音楽をしていると生きている感じがする」

からです。

日々歌を練習しますが、ウォーミングアップを終わり声が温まってきて、軽い声がビュンビュン出るようになる時(サッカーボールを蹴った時にスコーンと遠くへ抜ける気持ち良さに近い)にとんでもない幸福感に包まれます。

音が、音の粒が部屋中を駆け巡るといいますか、完全に自分の身体から離れて嬉しそうに飛び回る感覚があります。
その時にとんでもない自由を感じるのです。

また、ホールで歌う時、人前でお時間を拝借して「自分を表現する」わけですが、そのひと時だけは皆私に注目している、私の音楽を聴いてくれる、自己承認欲求に近いかもしれませんが、その現場にも恍惚とします。

終わったあとの大きな拍手、カーテンコールで感じる温かい雰囲気はよく「麻薬」と言われますが、本当にそんな感じです。
「私の歌を聴いてくれてありがとう、そして、賞賛してくれてありがとう」
今まで音楽で苦戦したことも悩んだことも全て美しいものに還元された気持ちです。

音楽や芸術ってよく「自由」という言葉で形容されますよね。

私が歌っている時、そこには絶対的な自由があって、私はこのまま何でも出来ちゃうのではとさえ思います。

あまりに私が幸せそうに歌うものだから、薬剤師のある知り合いに
「あなたは歌うという行為で自然治癒しているのでは?」
と言われたこともあります。

なるほど確かに、私が日々の生活をポジティブに過ごせるのも、ニコニコしていられるのも「歌うことで自分を癒している」ことが一つの大きな要素かもしれません。

歌を歌うとドーパミンがたくさん出る感覚、もっと歌いたいのに!と思った頃に練習のリミットがきたりして、それでも毎日歌いまくっちゃうから喉を痛めたり、、そんな日々を送っています。

音楽を聴く側はどうか

皆さんはどうして音楽を聴くのでしょう。
色々な理由があると思いますが、第1回目で触れた通り、人によってたくさんの答えがあります。
音楽を聴くと幸せな気持ちになる、テンションが上がる、癒される、昔の記憶が蘇る、、音楽がいろいろな形で人に寄り添っている様子はとても美しいですよね。

ところでひとつだけ、音楽を聴く方々にお願いしたいことがあります。

それは「人が聴く音楽を批判しないでほしい」ということです。

音楽はたくさんのジャンルや演奏形態に溢れています。先ほども触れた通り、音楽に自身の自由を投影したり音楽によって自分の心を癒す人がたくさんいる中で、「この音楽はダサい」「センスが悪い」と批判する人が一定数います。

それはとても悲しいことです。
音楽や美術こそ、自由でいて許される世界なのに、そこに「これは良い、これはだめ」という判断軸を持ってきてしまうのは、ずれているなと思います。

クラシックだってポップスだってジャズだってアイドルの曲だってアニメだって音楽は皆すべて平等です。
そのジャンルを愛する人たちがいて、ちゃんとその音楽を愛し、応援できたら十分ではありませんか?

だから、どうか、音楽を尊重してください。

自分の愛する音楽をもっと応援していただけたら、表現者の私としてはとても嬉しいです。

音楽が広がるために

ようやくここで、本題に入ります。

※私が指す「音楽」はクラシックやミュージカル、ジャズなどの舞台を通した生演奏を指します。

先述の通り音楽は表現者にも、客席にも幸せを与える媒体だと思います。 表現者である私たちは音楽をもっと深く知って、自分の音楽に誇りを持ち、新しく音楽を知る人たちに「音楽の良さ」を伝えなければいけません。

大学で音楽を専門に勉強すると「音楽に悩まされる・苦しむ」ことも増えます。
普通は趣味の領域で完結する音楽を、真剣に勉強し、先生に指導されたところを改善し、さらに卒業後どう音楽で生きていくかも考えなければいけなくなり、がんじがらめになってしまうからです。

音楽をあまりに真剣に捉えてしまうと「なぜ音楽をやっているか」を忘れてしまいます。私も大学入学後、なぜ音楽をやっているかが分からなくなりしばらく自分を見失いました。

自分がどうして音楽をやっているか、誰に届けたい音楽なのか、そこを明確にして音楽と向き合うとより良いアクションが起こせると思います。

音楽が広がるためには「音楽を広める営業マン」が必須だと私は思います。普通の社会生活を送っていても生演奏に触れる機会はほとんどないので、音楽を広げるには音楽を聴く機会・回数が増える必要があると考えました。

これから音楽業界が生き残って行く、たくさんの人に愛され続けるには2つの部署が必要だと思います。

1つは昔から続く伝統音楽、クラシックは継承する人が必要ですから、”伝統継承部”、もう一つは新規ファンを取り込む”営業部”の二つに分けるという案です。

現状、音大に入る人は皆”伝統継承部”の一員になるため、実力を磨いています。
ですが、日本の音楽業界では業界の規模が小さくて伝統継承部に入れる人はほとんどいません。
だけれど、一流アーティストになるだけが音楽の成功ではないし、音楽を沢山の人に知ってもらうために、営業部の人たちはどうすれば音楽を知る人が増えるかを研究し、自分の提供する音楽がどの層に受けるかを考え行動することが大事です。

音楽のマーケティングが今後はどんどん必要になります。
音楽の聴き手はどんな音楽を求めているかを私たち表現者は考えていきたいものです。

私たち学生ができることは「たくさん音楽の良さに気づいて、音楽が増える方法を知る」ことだと思います。今後、よりよく音楽を営業できるためにも学生のうちにできることは沢山あります。

この先、音楽はどんな変遷を遂げるかはわかりませんが、音楽がこれからもずっとずっと愛され、継承され、鑑賞人口が増えることを願ってやみません。

さいごに

全3回に分けて、ただの音大生がつらつらと音楽に関することを語ってきました。

難しいことを言わず、音楽は最高だからとりあえず色々な音楽聴いてみて自分の好みを探してほしい!
これが私のラストメッセージです。

私は今後、アーティストを目指しながら、音楽を広げるためにたくさんの活動をしていくつもりです。

日本のどこかで音楽が好きな音大生がいることを知ってくださればとても嬉しいです。

3回に渡り稚拙な文章にお付き合いくださり本当にありがとうございました。







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PN:さゆみ

某音楽大学に通う現役女子大生。
声楽を専攻しながら、日々音楽とはなにか、音楽との関わり方を模索している。
「音大生の考えごと/備忘録」と題し全3回に渡ってエッセイを連載しています。

音大生の考えごと/備忘録(最終回) - さゆみ -
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