筆者は以前、海外で芸術系の大学に通っていたのですが、その時に日本的なアートの考え方とは違う感触を受けた経験があります。
このネット全盛時代に「海外に向けて作品を発信しよう」というアーティストの方も増えてきているかと思います。
それに関して、海外に向けて作品を発信していくポイントや日本人として、日本文化がバックグランウドにあることを利用する方法などを見ていければと思います。
アートと芸術の違い
「アート」は日本語でいうと「芸術」という言葉になりますが、この響きだけ聞いても印象は全く違うものになると思います。
それは印象だけではなく、確かに違うものとして区別されるでしょう。
例えば、日本に置いて海外で非常に人気のある「アニメ」は海外では「日本のアート」として位置付けられていますが、それを日本で「芸術」と呼ぶ人はあまりいないでしょう。
むしろゴッホやピカソの絵のような作品を我々は「芸術」と呼ぶ傾向にあるのではないでしょうか。
日本ならではのカルチャーを武器に
上の例で、どちらが良い悪いということではないのですが、それぞれ「違う国の違う文化をアートとして捉えやすい」という傾向が見えてくると思います。
やはり異国の文化にとってまた他の国の文化と言うのは衝撃的で示唆に富んでいるからなのです。
つまり、私たちが「常識」と捉えていることは海外の方にとっては「常識」ではないのです。
特に日本という国は世界の中でも「非常に独自性を持った国」という評価、見方をされています。
つまり、私たちが守ってきた文化、カルチャーというものはそのまま、他の国にとって「アート」とみなされやすくなる、つまり価値を見出してもらいやすくなるわけです。
さらに言えば、日本で今まであまり評価されてこなかった作品というのも海外に出すことによって再評価されるということは十分にあり得る話なのです。
インターネット、SNSを駆使する
近年、今までにないほど国際化が進んでおり、その加速度は放物線を描くかのごとく上昇しています。
様々な要因がある中で、その主な原因がインターネットの誕生でしょう。
インターネットにより、国同士の垣根なく、自由な情報発信が可能となりました。
アート、芸術分野においても「国際化」は進んでおり、見出しで紹介したアニメが海外で評価を受けて人気となっているのも、少なからずこのインターネットの影響を見逃せません。
ネットと言うのは音楽、写真、絵、動画などアートを発信する媒体として非常に強力です。
多くの企業でマーケティングのためにネットが使われている現在、アーティストも海外に作品を発信する上でこれを利用しない手はないといえるでしょう。
日本カルチャーの強みと弱み
日本文化は海外においてそれ自体が強み、ストロングポイントとなることは上でも紹介しました。
一方で弱みというものも存在します。
日本文化では「謙遜」や「沈黙の美徳」などの概念が幅広く浸透していますが、それらは作品を発信するという上においては大きなデメリットとなります。
また日本人の英語力というものも日本文化が抱える大きな問題といえるでしょう。
海外に向けて作品を発表する際に、やはり日本語ではなく英語で発信することは、作品を理解してもらう上で重要なことといえるのですが、多くの日本人にとって「英語を日常的に使う」という文化がありません。
むしろ、英語を話すことで学生時代に茶化されてしまうなどの経験をした方も多いのではないでしょうか。
その点においても日本文化はマイナスといえるでしょう。
しかし、逆にそのような「非英語環境」が世界の他の国とは違う、日本の独自性というものを育んできた一員でもあるので、そこは一長一短ともいえるでしょう。
例えば、上で述べた日本文化の「謙遜」や「沈黙の美徳」といった概念を英語で積極的に、そしてしっかりと発信できるような日本人と言うのは少なく、例えばそれを作品を通じて表現するといったようなことがアーティスト単体ではなく、日本のカルチャー全体を考える上でも大切なこととなってくるのではないでしょうか。
今までに数多くの国籍、バックグラウンドの方と話してきた経験がありますが、彼ら海外の人から見て日本の文化(仏教や石庭、能や狂言などの伝統日本文化、わびさびや禅など日本独自の概念など)と言うのは非常に魅力的という旨の発言を何度も耳にしています。
このことからも、私たちが自然に身につけている日本文化と言うものは大きな武器になるということができるでしょう。
もちろん実際に発信していく面でそれがむしろデメリットとなってしまうこともありますが、そこさえクリアすれば日本人の作った作品というのは必ず海外で評価されるはずです。
現状として国内でのアートの需要は少ないのですが、これも日本の文化として「海外で評価されたものを評価しやすくなる」というものがあります。
日本で活動をしていきたいという方も、まずは海外に発信して逆輸入するというやり方が今のアーティストにとって一つ理想的な形といえるでしょう。
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著者名:Koji Nakashima
(フリーランスの翻訳家兼ライター)
日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、フランス語と6カ国語を駆使し圧倒的なスピードとクオリティで翻訳を手がけている。
同時に得意の語学力を活かし世界を放浪、世界のサーフタウンに出没し日々サーフィンのために波を追いかける。