イラストレーターの苦難と絵に対する思い- 周憂 -

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クリエイターが経験する喜びや楽しさ、挫折、成功。そのすべてが詰まったコラムを、代表作品とともに情景イラストレーター:周憂さんに執筆頂きました。

初めまして、周憂(しゅう)と申します。
私は現在SNSなどを中心に、情景イラストレーターとして2年目の活動をしています。

風景や情景の中にキャラクターが生きている。
見た人の心を動かす絵作り
を心掛けてイラストを制作しています。

私が本格的にイラストを描き始めたのは、約5.6年前になります。
昔からキャラクターの模写などをしていて、イラストを仕事に出来たらいいなと軽い気持ちで、専門学校のキャラクター専攻に進もうとしていたのが高校卒業間際でした。

そこからなぜ背景の道に足を踏み入れたかと言うと、当時SNSで偶然見つけたとある風景イラストレーターの方のイラストを見たのがきっかけでした。
そのイラストを見たとき、「ああ、風景っていいな、綺麗な風景を描いてみたいな」と思い、キャラクター専攻から背景デザイン専攻に進路を変えました。
曖昧に生きてきた自分に小さな目標をくれた出来事になったと思います。

そして専門学校に進学し、背景の勉強をしていました。
ですが、イラストを描くためのツールの授業なのに
「写真加工の技術しか教えて貰えない」という内容の授業が多いことに不満を感じ、私は専門学校を1年で退学しました。

その後、自分と同じタイミングで専門学校の講師をやめたとある方から、
「君が良かったらイラスト教えてあげるから私の家に来なさい」と誘いを受けました。
当時は憧れの先生であり、「もうここしかない」とアルバイトをしながらその先生の家に通っていました。

私以外にも生徒が数人いて、私より何倍も上手い人達でかなり焦りがありました。
そこでは先生から言われたものをひたすら模写をして覚えるという事が多かったです。
絵以外にもトップになるためのマインドなどを教えられましたが、先生の求めるレベルが高すぎてついていくのがやっとでした。
生徒の中では自分が1番下手なのは分かっていたので、心身ともに追い込まれていきました。
そんな時に先生から「君に教えるのはもう面倒くさい」と言われてしまい、私の心は完全に折れて、そこから逃げ出してしまいました。

ただ、イラストで生きていきたいという思いは変わらなかったので、
アルバイトの数を増やしながら独学で勉強をして、
ポートフォリオを作り、
アニメの背景美術会社に応募してみた所、
書類審査を通り、面接のその場で内定をいただけました。

そしてアニメの背景美術会社に入社し、そこで仕事をしながら、家で描いたオリジナルイラストをTwitterに興味本位でアップし始めたのが2020年。
そこからコツコツイラストをアップし続けていて、
フォロワーも2021年には4000人程になり、イラストのいいねも1000、2000いいねを貰えるようになっていました。
ただその時の私は、もっとたくさんの人に見て貰いたい、いいねが欲しいと思っていたので、変わらずイラストの投稿を続けていました。

転機になったのは、2021年5月に投稿したイラスト「大炎刻街」。
リアルな風景にアニメーションを追加するという自分の中では新しいイラストを投稿した所、いいねが3万を超えて、フォロワーも1万人を超えました。
これを機にDMでイラスト制作のご相談などが増え、もしかしたらイラストレーターになれるかも、と思い始めました。

「大炎刻街」



そこから自分も勢いに乗ってきて、
シリーズもののイラストを投稿したり、色々な描き方を試していったりして、8月頃にはフォロワーが24000人程になっていました。

そして2021年9月。 2年半勤めた背景美術会社を退職して、フリーランスのイラストレーターになりました。

フリーランスになってからは、仕事もそこそこいただけており、正直自分に才能があると思っていました。
ただ、仕事をこなしていくうちにその考えが浅はかだったことに徐々に気づいていきました。

まず好きで描く趣味絵と、仕事で描く絵の違いについて知ることになりました。
趣味絵は、自分の好きなものを自分の好きなように描けるのですが、
仕事になるとクライアントの要望に沿いながら、自分らしさを入れたり、良い表現を先方に提案することも大事になってくる。
それに慣れるまでには本当に時間がかかりました。

Twitterに関しても、趣味絵を月に2.3枚アップしていて、フォロワーも順調に増えていきました。
増えていくと同時に「こんなにフォローしてくれてるんだから良い絵を上げないと」とその数がプレッシャーにも変わっていきました。
私は承認欲求の塊みたいなものなので、絵が伸びない時は露骨に凹んでいました。
タイムラインには知り合いの絵師の上手い絵が流れてきていて、絵をアップしないと…と焦燥感に駆られる日々。

フリーランスの絵師はマラソンと友人が言っていたのですが、まさにその通りだなと思いました。
常に仕事や、自分の絵・他人の絵の分析をしています。




2023年の目標は、Twitterのフォロワー20万人と、1人でも多く自分のことを知ってもらうように頑張る。です。
もちろんネットでの活動もそうですが、コミケや展示会などにも積極的に参加して、自分を知ってもらいたいです。
そのためにはSNSへのイラスト投稿は欠かせません。

ただ、仕事もしないと生きていけない。
スケジュール管理がとても難しいです。

最近は伸びる絵を描くのがいいのか、自分が描きたいものを描くのかという事についてずっと悩んでいます。
2022年の8月頃までには、いいねを貰えるのが嬉しくて、伸びる絵を描いていました。

そのいわゆる「伸びる絵」は、自分自身特に好きなものが無く、これを描いていれば皆自分を見てくれると思って描いていました。
絵に関しても正直描けるから描いている。という感じで。
専門学校で背景デザイン専攻に進もうとした時も絵が好きという感情はなく、背景なら描く人が少ないし、競争社会でも生きていけそうという短絡的な動機でした。
キャラの模写をしていた小さい頃も、絵が好きというわけではなく、模写をすることに快感を覚えていました。

ただイラストレーターという世界に踏み込んでからは、そもそもみてもらうためにも伸びる絵も多少は必要ですが、それ以上に自分の好きを表現するのが大事なんだなと思い始めました。
好きなイラストレーターさんの絵には何かしら惹かれる象徴的な要素があり、画集などを見ていても「この人が好きなものはこれなんだ」とわかる絵を描かれていて、インタビューにも「子供のころから絵を描くのが大好きだったので、今も続けられています。」と、自分には眩しいくらいに輝いていました。

必ずしも絵を描くのが好きではある必要はないと思いますが、自分はイラストレーターとして上の舞台に行きたいという思いはあります。

現状足りていないのが、

絵を本気で好きになる。
他人のことを気にする絵より、自分がワクワクする好きな世界観のイラストを描く。


ということです。
いつか絵を描くのは好きですか?と聞かれた時に好きと即答できるように。
私は今、絵を好きになるために絵を描いています。







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周憂
職業:イラストレーター

アニメ背景美術会社に2年半勤め、2021年9月にフリーランスになった。
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