現在、しもだて美術館にて「えとえのえほん展」を開催中の安齋肇氏。イラストレーター、アートディレクター、ソラミミストと幅広く活動している安齋氏について、今回は画家のオオヤマネコさんにご紹介していただきました。
安齋さんはイラストレーター。そしてよく「もともとはデザイナーだからさっ」と言われる。時にはライブハウスでバンド出演し、オカリナを吹く。テレビにラジオにも出演される。友人に安齋さんのことを話すと「タモリ倶楽部の空耳の!」という反応。うちの子がよく口ずさんでいたアニメ「わしも」の歌。それをテレビで見たときに安齋さんの名前があった。そういうことがあるたびにWEBで安齋さんの経歴を調べるが活動の幅が広すぎて、なかなか何者かをつかめず。
タレント、アートディレクター、ミュージシャン、ソラミミストと、いろいろな肩書を持つ安齋さん本人に「肩書をひとつ選ぶなら?」と聞いたときには「うん、イラストレーター」とひとこと。フムフムと思いながら自分に当てはめて自分の肩書は何かなーと考えたこともある。でも人に説明できる肩書を即答できなかった。安齋さんは即答だった。
安齋さんはたわいもない質問などにも丁寧に答えてくれる。ご自分のことはほとんど語らず、相手に対して一対一で向き合ったうえで語られる言葉たち。私はそんな安齋さんが放った言葉は些細なひと言でも私には特別なものだ。
もともと安齋さんとは神戸にあるギャラリー「Vie」が主催する「絵話塾」イラストコースで出会う。安齋さんはそのイラストコースの先生で年4回講義を行われていた。私はこの塾に2年通ったので8回お会いする機会があった。でも私は1度休んだので7回。一回の講義は2時間ほどで、講義半分、課題の講評を1時間といった感じで行われる。課題は「2か月間で100個の展示を見てきて感想を書いてくること」「自分らしい作品を制作してくること」など。私は毎回苦戦していた。1年目でも自分が描くべき絵も見つからず、ダメもとでもう1年通うことに。
がむしゃらに描いて、時間がある限り展示に出かけた。そして2年目の最後の作品発表の時、安齋さんに「あ、いいじゃん。やっとヤマネコくんらしくなったね」とひと言。その後に、「ずっと描いていきないよ。描くべき絵、ね。」と言われた。それが2016年の3月。それからギャラリーVieオーナーの村上政行さんに相談したら、「卒業後も描き続けて、半年後にここで個展してみる?」と言ってくれたおかげで作家として続けて描くことを決めた。それから今の今までずっと描き続けてきた。
初個展から、安齋さんは香代子さん何度も観に来てくれた。その都度いつものひと言アドバイスをくれる。それがうれしくて楽しくて。気がつくとできなかった課題を普通にできている日々。安齋さんはいつも最短コースを示す言葉をいってくれるのに、私は最高に遠回りしてやっとスタート地点につくことがほとんどだ。
先日安齋さんが茨城県のしもだて美術館で大規模な展示をされるので、「手伝いに来てよ」とひと言いただいた。搬入準備から展示のお手伝いに行き、私は安齋さんが「イラストレーター」であるという所以を目の当たりにする。会場でもくもくと制作する安齋さん。時間の余裕は一切なしの状態で真っ白いキャンバスに向き合い、言葉は少なくただただ描く。それを見ながら昔安齋さんが言ってくれた言葉を思い出す。
「時間をかけても自分の描くべきものに出会えるように」
まだまだ時間はかかると思うが、手を止めなければきっと生涯一番長く続けていきたいものが見つけられる気がする。その時は自分の肩書きを即答できるはず。その間、まだまだ安齋さんのひと言を集めていきたい。
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