初めまして、わたしは重度身体障害がある絵描きです。
普段は自宅の自室で車イスに乗り、作品(主に平面・デジタルアート)を描いています。
わたしの障害は先天性疾患なので、幼い頃の遊びはスポーツや外遊びなどができず、自宅内でお菓子作り(とてつもなく食いしん坊)をした後、そのお菓子を食べながら漫画を読み、テレビアニメを見て、こっそりメモやノートの隅にいたずら書き、画用紙に落書き、へんな自作の歌を作るなどをしながら時間をつぶしていました。
中学2年生のころ先天性疾患が悪化し、学校に行けず車イスになりました。その頃から手術・入退院を繰り返し19歳になった時は寝たきりになりました。
ちょうど寝たきりの初め頃は入院中で、専門学校の勉強をする気持ちにもなれず、何か寝ながらできることはないかなぁ~とぼーっとテレビを見ながら入院生活を送っていました。
その時にふと思い出したことが「こっそりメモやノートの隅に描いた落書きやいたずら書き」の思い出でした。水性ペンとスケッチブックがあれば、単純に時間がつぶせるかもと思いつき、両親に買ってきてもらいました。
自宅から離れた病院での入院だったため、両親にすぐ買ってきてもらえなかったことを覚えています。
「早く水性ペンとスケッチブックが来ないかな~」と思いながら数日が経ち、やっと手にしたペンとスケッチブック。何を描こうか・・・悩みましたが、いつもお世話になっている看護師さん、医師、リハビリスタッフ、清掃スタッフなど身近にいる方の顔を描こう!とふと思いつきました。
自分自身、それほど人間関係を築くことが得意ではありませんが、その頃は看護師さん・リハビリスタッフさん・清掃スタッフさん達とすごく仲良くなり、お礼の気持ちを込めて似顔絵を描きました。その似顔絵は具象的に描いたものではなく、自分なりにオリジナル感を出したかったため、かなり抽象化し「おもしろオカシク楽しく」皆さんに喜んでもらえたらいいなぁと思い、ひとりの看護師さんに手渡したらとてつもなく面白いと笑って喜んでくださって、わたしは1日に10枚以上スタッフの皆さんを描きました。ペンだけでは飽き足らず、折り紙(病院にあったものを拝借)なども使って貼り絵もしました。
たくさん描き上がった似顔絵はナースステーションに1日だけ飾っていただきました。その時のタイトルは「ミカ展」(二科展をパクりました)
その展示をきっかけに絵を描くこと、絵を見てもらうこと、そして自分が描いた絵を見て楽しんでもらえたこと、なんともいえない喜びを味わえました。その気持ちよさがいまだに忘れられません。
その数週間後、退院になり自宅に戻りました。自宅に戻っても、ほぼ寝たきり状態だったため、入院時と同じように水性ペンとスケッチブックを使って寝ながら絵を描き続けました。
その当時、1日1枚絵を描くということを目標に抽象的な顔を描き、スケッチブックが約10冊ほどたまりました。そんな環境が約2年続きましたが、徐々に車イスに長く座れる状態になり、やっと座ってじっくり絵を描けるようになりました。そんなとき、今後どういう絵を描いていこうかなーと考え始め、思いついたのが幼い頃から自分自身が眠っているときによくみる説明できない不気味な夢のことを題材に絵を描き始めました。
その頃から約23年、現在も自宅の自室で絵を描くこと、そして車イスに座れるようになった頃に習ったパソコンで絵を描くことを続けています。
知人や友人によく23年も絵を描き続けられるねと言われることがありますが、19歳のころの自分の作品を見て笑って、喜んでくださった看護師さん達の笑顔を思い出すと絶対にやめられません。日々、先天性疾患の悪化や新しい病気、そして自分の介護問題など日常生活では大変なことがありますが、あの当時のことを思い出すとまだマシだ!と思いながら絵を描く生活を粛々とやっています。
この約23年間の間に描いた作品数は約1000点以上になります。小さいものは油性ペンで描いたはがきサイズ、大きいものは横1400mm×縦900mmの大きなロールキャンバスにアクリルガッシュや自撮りした自身の顔写真を転写したり、アクリルマーカーで描いた作品、木製パネル(F0サイズやサムホールサイズ)を組み合わせて、接着剤やタッカーで貼り合わせたものに腸内の細菌を描いたり、0.1mm油性ペンで人間のような妖怪のようなものを小さく小さく描いたり、幾何学模様をエンドレスに描いたり、ある日の夢に惑星の土星や海王星が出てきてしゃべりかけてきたのでその状況を絵に描いたり、最近は宇宙人、回虫や微生物に興味があるので、その写真をネットで見て描いたりしています。
タイトルになっている芋虫のような指とは何?と思われると思いますが、わたしの先天性疾患の特徴である両手の指が短く太いのでまるでキアゲハの幼虫(芋虫)のような指と母親に名付けられました。そんな短く太い指で筆やペン、鉛筆にマウス、たまにフォークやスプーン、そして紙粘土をこねたり、マスキングテープ、アルミホイルやキッチンペーパーをちぎったり、なんとかこの芋虫のような指が動く限り作品を作り続けていきたいと思っています。
作品紹介
※1「森にいる宇宙人」
この作品は、ある日いつものように眠っているときにみた夢に出てきた宇宙人が森の中でうじゃうじゃいて宇宙語を話し、わたしは会話に耳をそばだてて聞き、言葉をなんとなく覚えていたので宇宙人と宇宙語を合わせた作品にしてみました。
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