写真で人生を豊かにするためのヒント- 米山大夢 -

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動物と草が好きな雑食カメラマン・米山大夢さん。写真ってそもそもなんのためにあるものだろう?を切り口に、「人生を豊かにするための写真」を執筆頂きました!

今回「あなたの好きなことを書いて大丈夫です」と機会をいただき、正直何を書くか迷いました。
そして迷った挙句、一回目の寄稿にもかかわらず約2週間ヌルッと押しました。(編集者さん本当に申し訳ありませんでしたそしてありがとうございました)
今回は「写真で人生を豊かなより充実したものにするためにの僕なりに大切にしていること」をテーマに書いていくことにしました。

好きなことを書いていいのなら宣伝や広告的なことを書こうかとも思ったのですが、特に宣伝したいこともなければ、広告的に出すコンテンツもない。となり、自分が大切にしていることを振り返るところから始めました。「高いカメラ性能を備えたスマホの急速的な普及とともに、これまで以上に身近になった写真を軸に、人生を豊かにする写真について考えてみよう」「これを読んでくれている方の人生が少しでも豊かになるよう言語化してみよう」というところに落ち着きました。僕の謙虚で献身的な姿勢がとてもよく出てしまいました。

▷「写真」はなんのためのものか

あなたが撮る写真はなんのためのものか、考えたことはあるでしょうか。

写真と一口に言っても、自撮りから緻密な絶景写真、芸術としての写真作品まで、その言葉に含まれるカテゴリは実に多様です。

しかし趣味で撮る写真というものにおいて、僕は「写真は自分自身のためのもの」と常々思っています。
これは僕が1番大切にしていることでもあります。結果的にその写真が誰かに喜ばれるものになったとしても、根本のところでは自分のために撮っていると気づいたからです。

先天性の飽き性である僕が、何年も写真を撮り続けられている一番の原動力がまさにここにあります。
誰のものでもない僕自身の感情で僕自身のために、そして僕の人生が豊かになるように撮っているからこそ続けられているのだと確信しています。

▷人生が豊かになる写真

写真には「記録」「芸術」という2つの大きな側面があると考えています。
写真のデジタル化に始まり、スマホの普及などで一気に身近になった写真。そして撮られている写真の大半は写真の「記録」という側面でとらえられたものです。ということでここでは「記録」という切り口でその辺りを考えてみます。

そもそも記録写真とはなんなのか。
一般的な回答を求めて、今話題のchatGPTに聞いてみたところ、

「記録写真とは、ある出来事や場所、人物などを撮影して、その瞬間を記録するための写真のことを指します。主に、歴史的な瞬間や、特別なイベント、旅行先での風景や建物、家族や友人との思い出などを記録するために撮影されます。記録写真は、その瞬間を後世に伝えるための貴重な資料としても活用されます。」

ということだそうです。
ここで僕自身も重要だと感じている「思い出」「後世」という時間的なワードが出てきました。

思い出というのは「盛られる」ものです。(よく「思い出は美化される」と言いますが、これはプラスにのみフォーカスしているので、あえて「盛られる」という言葉を使いました。)

「盛られる」ことは決して悪いことだとは思いません。思い出は美化もしくは醜化することも含めて思い出だと僕自身が感じているからです。
ただ「盛られた」思い出に対して、あまりにも忠実に過去のことが記録されているものを見せられると「お前の思い出はもっとこうだったぞ」と、なにか尖ったものを突き付けられているような気分になりませんか?

時間と共に徐々に曖昧になり「盛られた」思い出を、曖昧なまま記録し、曖昧なまま呼び起こすことができるのも写真の大きな力の一つな気がしてなりません。

記録写真において、よく言われる「写真の余白」とは、曖昧になっていき美化されたり醜化されたりしていく記憶・風景を、あえて曖昧なままにしておくために大切な要素だと僕は解釈をしています。

例えば古いアルバムを開き、写真で切り取られた一瞬が記憶の引き出しを開けるきっかけとなり、前後のストーリーもふわふわと蘇ってくるあの感覚。過去の一部分をじわじわと懐かしむあの感情こそ、写真の余白を自分の思い出で補填しながら生み出される尊い瞬間だと、そう思うのです。

▷人生を豊かにする写真を撮るのに最も大切なこと

ではそんな写真を撮るために最も大切なことはなんでしょうか。

いいカメラを使うことなのか、いい光を見つけることなのか。はたまた念入りな下準備なのか。
6年間あらゆる写真を撮り続け、「その瞬間にその場所にいて写真を撮っている」ことが最も大切だという考えに至りました。

いいカメラを持つことも写真の技術を磨くことももちろん大切なのかもしれません。しかしこれらは撮りたい何かや残したい何かを達成するための手段であって目的ではないのではないでしょうか。

幼少期のアルバムをめくって愛おしくなるような写真たちが、必ずしも高級なカメラを使いプロが撮ったものではないように、プロでもなくいいカメラも持っていなくともその場面に出会い、感情のままにシャッターを押すことが何よりも大事だと、僕はそう考えています。

もしあなたがカメラでもスマホでもなんでも、写真を撮る手段があなたのその手にあるのなら、なるべく身の回りのものはたくさん撮って欲しい。誰も目を向けないような路傍の草や、なんの変哲もない霞んだ空、そんないつも通り過ぎていく日常の一コマをあなたの目線で撮って欲しい。

きっと5年、10年、20年と時が経ち、老いていき、そして大切な人や物が消えていくにつれて、その一枚は深みを増し、撮った時以上の感動をあなたに与えてくれるはずです。

いつかその写真を見た時「あぁそうそうあの時は」とほんの少しでも思ったのなら、その時その場所でその光景を前にシャッターを押したあなたの大勝利なんです。







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米山大夢
IT企業で働く傍ら「存在の証明」をテーマに写真を残しています。
被写体は恋人、友人、動物、植物など目に映るもの全てで、その時、その瞬間、その場所に確かにいたんだということの証明として衝動的にいろいろなものを写真に残しています。
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