「なぜ、写真なのか。なぜ、鉄工所なのか。」を自分に問いかけてみました。- 長谷川佳江 -

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写真歴6年ながらも精力的に活動を続ける長谷川佳江さん。なぜ写真家としてカメラを選択したのか?なぜ鉄工所やそこで働く人々を撮り続けるのか。自身にも振り返っていただきながら赤裸々に語っていただきました。また、2021年3月31日までBUNCAにてクラウドファンディングに挑戦中!念願の東京個展開催に向けて、彼女は今も闘っています。

私は、写真歴6年の写真家です。関西で、「知っている人は知っている。」程度の知名度です。
写真を始めたきっかけを話す前に一旦20代の時の話をします。

もともと絵画が好きだったので20代の頃、働きながら芸術専門学校に通っていました。主に、石膏デッサンと油絵を習っていました。そこで知り合った人達の影響で「前衛芸術」にハマっていきました。具象から抽象へ。ここが、地獄の一丁目だったのです。

カタルシスが吹き出し、夢中で描けるときには寝ずに描けるのですが、一旦スランプ(私は「森」と呼んでました。)になると、苦しくて苦しくて…。私が描いている意味は?表現したいものは?何のために?どんどん訳が分からなくなっていきます。今思い出しても、結構しんどいです。それでも、個展は2回やりましたが。

そんな私に転機が訪れました。「阪神淡路大震災」です。借りていた文化住宅は一部損壊でしたが、精神的な打撃は相当大きかったです。その時に「私、なにやってるんやろ。こんなに困っている人が沢山いるのに。」私の芸術が薄っぺらく感じました。そして働きながら、通信制の福祉系大学を出て社会福祉士という資格を取得し、障害者施設の指導員になりました。最後はケアマネージャーという仕事をしていました。絵を描きたいなあ、表現の世界に戻りたい…と思いつつも、結婚・出産と表現の世界とはかけ離れた現実世界へ。

さてさて、大分遠回りをした人生ですが、子どもが中学生になるのを機に表現の世界へ戻ることにしました。あくまでも趣味で。だったはずですが、現在に至ります。
なぜ、写真だったのか。油絵を選ぶと独特の一人の世界へ没入しなければ気が済まなくなるからです。油絵はご存知の通り、1日では完成しません。写真は、完成します。同じテンションを何日もキープしなくて良いのです。

とは言っても、写真表現を軽くみている訳ではありません。私はこんな感じで勝手に解釈しています。

「絵画はマラソン。写真は相撲。」

集中力が高く冷静で、心が熱いという最高のコンディションの時には、ファインダーで覗く世界の隅々までが観えて、一瞬で切り取れます。現在兵庫県神戸市長田区や兵庫区の鉄工所を撮影していますが、ダメな日はどう頑張ってもダメです。観えていないんです。昨日もそうでした。もう、何やってんだか…。

愚痴はさておいて、もう一つの「なぜ鉄工所なのか。」についてお話ししますね。私は、兵庫県神戸市須磨区の板宿という下町で生まれ育ちました。板宿は、隣接する長田の下請け鉄工所が多かったんです。小さい頃、鉄の音や、火花や、油の匂いが好きでした。でも、恐いから入れなかった。一度入ろうとしましたが、「お嬢ちゃん。危ないからあかんで。」と言われました。ある時、神戸市長田区の鉄人28号をじっと観ていたら、「そうや。今なら鉄工所で撮影ができる。」と安易に思い立ち、そこから長田区の鉄工所を一件一件まわって撮影をお願いするようになりました。

世の中は甘くない。撮影承諾率は10件中1.2件がいいところです。下請けの鉄工所は、製品を撮影されることが元請の心象を悪くするのではないか、と心配なんです。当然だと思います。
2年以上鉄工所を撮影していて、鉄工所の職人さん達と気軽に話ができるようになりました。ある78歳の古い旋盤を使っている熟練職人さんの話を書きたいと思います。

「中学を卒業して、わけもわからずに鉄工所で働きだしたんやけどね。毎日が辛かった。怒鳴られるし、殴られるし、上手くできない悔しさはあるしね。そのうちに、出来ないことが出来るようになってきて、段々面白くなってきてね。ものづくりの仕事とはそうゆうもんやと思っているよ。今の若い人は新しい機械でやっているから、このやりがいは無いだろうな。僕なんて、休日が反対に嫌だしね。父親の葬式のときに、午後から仕事に出て、妻に怒られたよ。入院してもね。退院日が決まると嬉しくなる。出来れば、死ぬまで働きたいよ。」

私は、そういう職人さん達を何人か知っています。その人達を「鉄工所のラストサムライ」と呼んでいます。自分の技術力に磨きをかけながら、昭和、平成、阪神淡路大震災、令和、そして新型コロナウイルス、様々な苦難を乗り越えて(新型コロナはまだですが。)腕一本で働き抜いてきたその姿は、とても眩しく、逞しく感じます。
絵画と違って、色々な人と関わりながら「磨きをかけていく」写真表現は、福祉分野で約20年働いてきた現在の私に合っていると思います。

現在、ある意味「阪神淡路大震災」以上の苦難がやってきています。でも、多くの人々に支えれ、期待をかけて頂いている私は、芸術活動を止めるつもりはありません。

これからも、市井の色々な方々と出会いながら、写真表現向上を目指していきたいと思います。


長谷川佳江

制作活動に対しての想いを赤裸々にご執筆いただいた長谷川佳江さんですが、現在BUNCAにてクラウドファンディングのプロジェクトを開催中です!

【概要】
アイデムフォトギャラリー「シリウス」での個展開催が決定しました。
日程2021年6月3日(木)~6月9日(水) 日曜日休み 入場無料
この個展を成功させるために、資金を使いたいです。
コロナ渦中でも頑張っている兵庫県神戸市長田区の職人さん達が働く姿は、
きっと皆様の励みになると信じています。
何よりも、このプロジェクトを通じて、皆様とつながりたいです!

詳細はコチラから↓
URL:https://bun-ca.com/crowdfunding/production/11











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Author Profile
長谷川佳江
写真歴は6年です。
モノクロを中心とした表現を得意としています。
2017年 神戸アートヴィレッジセンター 個展 (神戸市兵庫区)
    ジャンクショップファクトリー 個展 (神戸市中央区のアパレルビル)
2018年 オリンパスギャラリー大阪(審査通過) 個展 (大阪市)
2019年 神戸アートヴィレッジセンター 個展(2回) (神戸市兵庫区)
2020年 神戸アートヴィレッジセンター 個展 (神戸市兵庫区)
2021年 3月 神戸アートヴィレッジセンター 個展 (神戸市兵庫区)予定
2021年 6月 アイデムフォトギャラリー シリウス(審査通過) 個展 (東京都新宿区)予定

*Kindleにて電子書籍(風景写真)を販売しております。
コチラ からご覧ください。

*Getty Images,Istock 専属写真家(審査通過)Photo stock 
カラーで写真素材を販売しております。ご覧ください。
http://www.istockphoto.com/portfolio/YOSHIEHASEGAWA
6回。詳しくは私、長谷川佳江のホームページをご覧ください。
https://hasegawayoshie.amebaownd.com/
神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/202005/0013351008.shtml

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20191126/ddl/k28/040/361000c

毎日新聞②
https://mainichi.jp/articles/20200515/ddl/k28/040/314000c

その他、関西テレビ様、ラジオ大阪様、ラジオ関西様に出演いたしました。
「なぜ、写真なのか。なぜ、鉄工所なのか。」を自分に問いかけてみました。 - 長谷川佳江 -
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