「てか、何屋さんなんですか?」
仕事上で自分がよく言われる言葉、堂々第1位がこれです。
ちなみに第2位は「アマプラばっか見てないで仕事してください。」で、
第3位は「ネフリばっか見てないで仕事してください。」です。
自分の食い扶持スキルをざっくり言いますと
演出照明
映像制作
グラフィックデザイン
ライター
と、自分でも何屋さんなのかよくわかりません。
自分でもわからないんだから他人様が不思議がるのも当然でしょう。
なのでいい機会だからなんでこんなバラバラなスキルを身につけるに至ったかをここにまとめときます。
今後「で、何屋さんなんですか?」って質問してくる人には「BUNCAを読め」と言ってやろうと思います。
というわけでまずはざっくりそれぞれの業務内容について説明しときます。
「演出照明」とは舞台やライブステージなどの照明演出をプログラムするお仕事。
演出家の意図を汲んで照明で情景を表現したり、音楽に合わせて場を盛り上げていく、みたいなお仕事です。
演者の演技や表情が見えるように
衣装の色が映えるように
演出意図を理解して場面を作り
なおかつ全体構成の中で色や明度でメリハリをつけていくという作業ですが
そのどれかひとつを犠牲にすることもあれば、もしくは、そのどれも守らなかったりすることもあるので
ちょいちょい怒られます。ええ。
「映像制作」はイベントやらセレモニーやらのオープニング映像だったり、芸能関係の映像だったり、企業さん関係の映像を作ったりします。
企業関係の映像案件は求められるスキルが高いことも多々あって関係者各位にご迷惑おかけしちゃったりしますが、
自分が普段使わないようなプラグイン使ったりしてそれはもう勉強になります。
制作中は地獄ですが納品終わったら「なんやかんや言って楽しかったよね。」とか言うんで関係者をイラっとさせてます。
グラフィックデザインはお店やらイベントやらのフライヤー作ったりロゴ作ったりHPのデザイン作ったりします。
たまに筆で絵を描いたりもします。
だいたいのイメージとかコンセプト的なものをもらって、あとは好き勝手やります。
「ポップな感じで!」とか言われてたのすっかり忘れて全然違うもの出来上がること多々あって自分でも驚いてます。
「でもこれ気に入ったからこれでOKです。」って言ってくれるクライアントは神様だと思っております。
ライターとしては、今回のBUNCAさんもそうですが時々執筆依頼を頂きます。
そして自由気まま徒然なるままに自分が面白いと思うことを書きます。
好き勝手書いてたら角川出版様から「本出しませんか?」って話いただいて急に襟を正してる次第です。
と、まぁ何足のわらじを履き散らかしてんだって話なんですけど
どのようにしてこのような雑食クリエイター人間が出来上がっていったのか。
子供の頃から絵描くのが得意だった自分は中学生の頃には、周りがジャンプとか読む中、
意味わからないくせに古本屋で手に入れたガロとか大友初期作品とかを読み漁り、
ほんとはラピュタ大好きなくせに宮崎駿より押井守だろとか言う立派な気持ち悪い少年に成長します。
高校生になるとアトリエに通ってデッサンの勉強しつつ、夜になると近所の大きめの本屋に行って
海外の美術書みたいなのとかデザイン雑誌とかをひたすら立ち読み、
というか英語読めないから絵とか写真とかデザインを目に焼き付けて、
家に帰って部屋に閉じこもってジャクソンポロックの真似事みたいな絵描いて親を困惑させます。
この頃に目にした作品や聴いたものは、
美術史やらデザイン学の系譜なんてまったく知らないでとにかく「マリポールって人の写真好き!」とか「バーバラ・クルーガーって人、赤色しか使わないのやばい!」とか脊髄反射的に吸収したものが殆どではあるけれど、
今になっても自分の制作活動において大きな比重を占めていて、未だに色とかレイアウトに迷ったときは当時夢中だった日比野克彦の画集を引っ張り出してきたり、ジム・ダインのハートをぼんやり眺めたりします。
で、当然のように美大目指すも「え?美大って英語とか数学とかテストあんの?なんで?」ってなってるところで一冊の本に出会います。
「ビリー・ミリガンと23の棺」という当時流行ってた多重人格かなんかについての本で中身は一切読んでないけど
その表紙の絵にやたら心持ってかれて、「これ描いた人に会いに行く。」と言い出します。
当時インターネットなんて無い上に個人情報コンプライアンスなんてガバガバの時代。
出版社に電話して「この絵描いた立石修志って人はどこにいますか?」って聞いたら「東京の学校で教えてますよ」って教えてくれたからそこの学校に進学することに決定!
立石修志先生という人は少年のちんこの絵ばっかり描く人で、初めて会った時もちんこの絵を描いていました。
鉛筆やコンテ、アクリル絵の具からテンペラまであらゆる画材を使って少年のちんこを描き出します。
ちんこ描くだけじゃなく、動物の死骸を拾ってきては剥製にしてアトリエに飾るような変態おじさんでしたが、話してみるとやはり面白い。
立石先生のゼミに入ると先生はなぜか立体造形を勧めてきます。
先生曰く「お前は空間認識がクソだから立体造形を学んで空間を意識したモノの見方をナンタラカンタラ…」だそうで、
じゃーやるわ、とよくわからんオブジェとかを量産してたら、あっという間に就職の時期に。
グラフィックデザインとかタイポグラフィとかまじめにやってた生徒たちがデザイン事務所とかに就職していく中、
立体造形って!なんの就職先もないじゃん!ちんこ先生!「立体造形を学んで空間を意識したモノの見方を…」じゃ、ねーんだわ!
立体造形ばっかやってたバカでも就職できるとこねーの?と就職課のおねーさんを問い詰めると
「ぶ、舞台美術とか…?」と教えてくれて、金井大道具という歌舞伎の大道具とか舞台美術を作る会社の内々定ゲットする。
最終面談でなんか偉い人
「入社してすぐ何かを作れると思わないでください。この世界は色作りに10年の世界です。」
「ん?今10年って言ったのか?いやまさか。10か月かもしくは10時間の聞き間違いだな」
「10年です」
「ふぁ!?」
というわけで金井大道具には入らず、同じく舞台美術制作を募集してたAプロダクションという会社に入ります。
そこで音響や照明など舞台に関する基本的なことを学びつつ、ひたすら大道具小道具を作らされます。壊れたものは修理します。
立体造形で木、石、鉄なんでも扱ってきた自分には余裕余裕。学生時代の経験が役に立っていますよ!ちんこ先生!
その後いくつかの会社を転々としていく中でフォトショ・イラレなんかも覚え、フライヤーなんかのグラフィックデザインもやり始めます。
新しいことを始めようとすると「おまえなんかにできるわけない」「どうせ失敗する」みたいなこと言いたがる人
現れがちだけどそーゆー「なんか色々理由見つけてきて何もしない人たち」がいるからこそ自分みたいな人間に
チャンスがまわってくるんでありがたいありがたい。ずっとそのままでいて。
フリーに転向してからは色んなイベントやショー制作に関わりながら照明制作の楽しさに目覚めます。
照明の仕事も結局は空間を作っていく作業で、悔しいがちんこ先生のアドバイスが生かされている事は認めざるを得ない。
そんな中、先輩が「映像編集覚えてくれたら仕事まわすよ。」と言ってファイナルカットという映像編集ソフトを譲ってくれます。
しかしうちのPCはWindows。ファイナルカットはインストールできないらしい。今更macユーザーになるのはしんどい。
ということでWindowsでも扱えるADOBE社のアフターエフェクトというソフトを覚えます。
当時は映像編集と言えばファイナルカットが主流だったらしいが今はもうすっかりADOBE社に追い抜かれていて、ファイナルカットはもうほとんど使われなくなりました。自覚なかったとはいえ、あの時無理やりmacユーザーに切り替えてでもファイナルカットを覚えようとする気概のなかった自分を褒め称えたい。
という感じで、
演出照明と映像制作を主軸に、必要に応じてグラフィックデザインやらHP制作、時に文章を書くといった感じで生きてますが、
一見ばらばらに見えるこれらの作業、突き詰めると実はそんなに違いのないことをやっているのです。
照明だろうがグラフィックだろうが、なにかを作る、表現するという作業において核となるものは実は同じものだと思っていて、
その核となるものというのはセンスとか呼ばれるものかもしれないし、それはちんこ先生のもとで培ったものなのかもしれないが、
ひとつのストーリーがあったとしてそれを映画にするのか漫画にするのか文章にするのか、というようなもので、
なんにせよ吐き出す媒体が違うってだけのことで、履いているわらじは一足なのです。
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