「テラスハウスに住みたい」- Kovacs -

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自身もミュージシャンとして活動する傍ら、アーティストへの楽曲提供やリミックスなども手がけるKovacs氏。同じ「ミュージシャン」でも内側から見るのと外側から見るのとではまた違うものなのですね。発見です。

サブスクリプション全盛の昨今、様々な動画、音楽配信サービスが各社独自のコンテンツを提供し、しのぎを削っています。

僕もご多分に漏れずネット動画配信サイト最大手「Netflix」に30日間無料の期間を利用して「ベター・コール・ソウル(ブレイキング・バッドのスピンオフ)」という海外ドラマだけ見て退会しようという腹積もりで入会しました。

しかし案の定、見ごたえのあるドキュメンタリーやアニメの数々に魅了され、無料期間をとっくに過ぎ、すでに1年ほど経ってしまいました。
そんな時間泥棒のNetflix配信番組の中で、存在は知っているけど、まあ自分は見ないだろうな、と思いつつ気にはなっていた番組があります。

日本発のリアリティー番組「テラスハウス」です。

「見知らぬ男女6人がひとつ屋根の下で生活するのをただただ観察する」
「台本なし」を掲げ、リアルな生活を覗き見るというコンセプトの番組で、現在も新しいシーズンが放送されている人気番組です。
見るつもりはなかったのにまさかのドハマリ、全シリーズを数ヶ月かけて見ちゃいました。
頭の中で「台本などない!」と反復しながら見ると、それはそれは面白い番組だったのです。

このテラスハウス、各シーズンごとにミュージシャンがメンバーに入っているのですが、ハワイが舞台のアロハステートに出ていたウクレレアーティストを除き、スーパーリア充だらけ!
最近放送されたシリーズでは、揃いも揃って流行りのシティーポップ(?)系の音楽でテラスハウスの女子メンバーはもとより、番組を見てファンになったであろうお客さんもメロメロにしているのです。

なんて羨ましいんだ!

眩しい!眩しすぎる!ジェラス!!!
あ、ゲスの極み乙女。のベースの人もでていました。なんで?!

そんな彼らの姿を夜な夜な見ていると、僕が辿ってきた音楽人生と、ふと比べてしまいます。

現在ではメインストリームとなったエレクトロニック系のサウンドですが、僕が音楽を始めたときには割とマイノリティーで、ライブハウスを中心とした活動を続けていた僕のユニットは苦戦を強いられていました。

対バンのイカツいロックバンドやハードコアバンドからは
「どうせカラオケなんでしょ?」とか「こっちは本気で客と勝負しているんだから近寄るな!」などなど、、、。

表現の多様性を求め、死にたいくらいに憧れた花の都大東京でのライブハウスの洗礼は、田舎から出てきたテクノ少年には失禁モノの恐怖でした。
お金はない、オシャレもできない、モテない・・・それはそれはひもじく、惨めな音楽生活の始まりでした。

なのにテラスハウスの彼らと来たら・・・おしゃれな洋服を身にまとい、おしゃれヒゲを蓄え、ファルセットで遠い目をして歌うのです。

今でも接点はないけど、当時も全く接点のない人種・・・。やはり生演奏に女子は靡くのだ!
家でひたすら変な音を作って悦に入るDTMerは所詮キモオタ!LAのEDMプロデューサーのアメリカンドリーミーな生活なんて全部CGじゃ!!

でも、もしテラスハウスにDTMerが入居したら、相当胸熱だと思うんですけどね。

例えば、リビングでひたすらヘッドホンを着けているから、全く会話に参加できないDTMer!
女子メンバーも次第にコミュニケーションを取る努力を諦め始める!
そんな姿に、妄想入居者のラッパー(32歳)は業を煮やし、DTMerのヘッドホンを引っ剥がしラップする!

「YO!参加しようYO! お前はなんのために入居?空虚!このバイブス!」とか何とか。
その時!DTMerのラップトップからヘッドホン・ジャックが外れ、大音量で自作のEDMがテラスハウスに鳴り響く!
ざわめく入居者!それまでDTMerに懐疑的だったラッパーが自然にリズムを取り始め、奇跡のコラボが始まる!
が、そのリリックの内容は、一体何で稼いでいるのか謎の、ハイブランドばかり身に着けたテラスハウスの重鎮、聖南さんに思いを寄せるサチモスっぽいやさ男へのディスだった!
修羅場!スタジオの山ちゃん大興奮!!みたいな。

ごめんなさい、見てない人にはサッパリ分かんないですよね。

ダメな感じの入居者もたまにいるのですが「マジで普段からこんなにシュッとして生活しているの?」って感じの人ばかりです。
女性も含めて。ミュージシャンの人たちも、普段からシュッとした生活が出来る人たちなので、曲作りやリハーサルなど共同生活しながらでもこなせるのでしょう。
サーファーは朝早くからちゃんと波乗りに行くし。
僕にはちょっと信じられねえです。

僕自身、2016年にアメリカ・テキサス州のオースティンで毎年行われている「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に出演が決まり、その周辺でのイベント参加も含めて2週間ほどメンバーや地元の友人と共同生活したのですが、まあテラスハウスのようにキラキラな精神状態では居られませんよ。

突然決まるライブ、まさかの忘れ物、体調不良など日本じゃ考えられないようなトラブルが平気で起こります。
なので気の使い合いですよ。雰囲気悪くしないために。
共同生活って本当に大変です。

ただ、歴代のシーズンの中でも毎回出てくる好きなシーンがあります。

それは飲酒シーン。

テラスハウスの男女共にお酒が好きな人が多いんですよね。
毎晩くらいの勢いで晩酌が行われます。
そこでヘロヘロになってキスしちゃったりしてるので、そこが凄くリアルなんですよね。
ぼくらミュージシャンも何かにつけてお酒はよく飲みますが、基本的にセクシャル皆無のムサい飲み会です。
彼らは本当にいい感じのオシャレな酔い方なのが、またニクいんです。
年下の入居者に人生のアドバイスしてみたり。
僕らは基本潰れるかクダ巻いてるダラダラした飲み会ですから。
まあ気のおけない仲間と飲むと無様な姿を晒しがちですよね。
あ、そう考えると仲が徐々に深まり、グダグダしてくるのはリアルですね。

結局何が言いたいのかというと、僕の周りの仲がいいミュージシャンは、遠い目をしてファルセットで歌う、全く生活に困ってない感じのサチモスみたいな人がいないので、テラスハウスに出ているミュージシャンはCGに見えるんです。

最新作でも同じ感じのモテミュージシャンが出ているのですが、そりゃもうライブ見せただけで女子がメロメロになっています。
ニクい。モテたい!テラスハウスに住みたい!

エキセントリックな飛び道具キャラで終わりそうだけど!








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Author Profile
Kovacs
Kovacs

モンド・ストレンジ・テクノポップユニット”Petit Mit(プチミット)"でデビュー。

”Peach Beach"”PetitMittle"(UKProject)リリース。

現在EDMユニット” Panaquonpe(パナコンペ)”で活動中。

2016年には米テキサス・オースティンで行われるSXSWでオフィシャルショーに呼ばれる。2019年2nd ALBUM"New Rose"発表。

芸人、三瓶”三瓶の39Days”作曲、プロデュースを始め、POLYSICSリミックス、木村カエラ”マミレル”アレンジ、カノエラナ”慟哭”リミックスなど、多数のアーティストへの楽曲提供、リミックスを手がける。

Kovacsソロ名義では現在4枚のアルバムをリリースしており、今夏ニューアルバムリリース予定。
PetitMit
"Peach Beach"
"PetitMittle" (UKProject)

Panaquonpe
"mit dir Vol.1"
"New Rose" (ah-no ah-no)

Kovacs
"Von A-Z"
"Sunrise And The Tortoise"
"Swirl Coloured Rimbaud"
"NATSU NO OKAWARI "(ah-no ah-no)

他、リミックス、プロデュース、楽曲提供多数。
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