No Shortcuts Vol.11- 松下マサナオ -

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Yasei Collectiveを始め、日本の音楽業界に無くてはならないドラマーのお一人である松下マサナオさんが、BUNCAで対談形式の連載中! 第11回目のゲストは東京・浅草にあるThe Three Robbers (ザ・スリー・ラバーズ) のつかもとたかしさんです。洋服(ファッション)に全てを捧げてきたつかもとさんに、服作りを始めたキッカケやこれからについて余すことなくなくお話しいただきました。

松下: BUNCAでNo Shortcutsっていう対談連載をやってて、各業界のトップノッチの人達にそこに至るまでの道のりを聞いたりしてて、僕がそのルーツを知りたいっていうのもあるんだけど、この連載を通して僕よりも下の世代の子たちに「業界」のことを伝えていければって思ってます。Vol.11のゲストは浅草スリーラバーズのつかもとさんです。よろしくお願いします。

つかもと:よろしくお願いします。


【お客と一緒に歳とりたいっていうのがすごくあって。】



松下:まずお聞きしたいのは、浅草スリーラバーズといえばミュージシャンを始め、所謂「洋服バカ」が絶対知っている場所、それはもう周知。どうやって今のポジションに至ったのか、自分の中でターニングポイントってあると思うんですけど、その辺りをお聞きしたいです。

つかもと:最初は仕入れという形でスタートして、海外に行ったりしてそれこそマサナオが好きな古着とか、そういうのも集めてた。古着はいっぱい見つかるけど、海外でたまたま古い生地が資材として見つかったんだよね。

松下:資材?

つかもと:そう、形じゃなくて「資材」として。俺が二十歳ぐらいだったから25年前の話か。それを見たときに、この資材を買っておけば何か作れるんじゃないか?と思って。形となる古いモノには絶対数があるし、どんどん値段が上がるものに人を集めさせることに、この頃から首を傾げはじめてたの。それなら古い生地で何か新しく物作りをした方が良いだろうと。そこで、こういった資材は、腐らないんだから「ひとまず全部買っておこう」という感覚で買い始めたわけ。でも25年前に古い生地で何かを作るって感覚の人はまずいなかったのね。全然使わなくて結局残っちゃった軍モノの生地とか、そういうモノって税金使って作っているからめちゃくちゃいい生地なんだよ。ファッションじゃない。まず命を守るための目的で作っているからね。で、俺より上の世代はヴィンテージというモノにロマンを感じてたんだよね。その感覚は俺もあったけど、それって本当にロマンあるのかな?って思っちゃったの。

松下:なるほどー。

つかもと:日本人って家を選ぶっていったらなるべく新築なのに、なんで洋服だけ古くないとダメなの?って急に思っちゃったの。若いときはいいけどね。だったら、古いモノを探して売るんじゃなくて、古い資材でオリジナルを超えるつもりで作り直して売ったほうがいいんじゃないか?に考えが至って。で、そういうのを探していたら24歳ぐらいで殆どの資材が揃って、いろいろモノを作り始めたの。それで30歳ぐらいになったとき「更にオーダー制にしよう、手を上げた人の分しか作らない」というスタイルになって。

松下:今流行っているのも2,30年前に流行ってるんでしょ、結局。

つかもと:そうそう。だから、そういうスタイルになって、知らない間に今こういう流れになっているけど、それがコロナってものが来ちゃって。あれ?うちのやり方(オーダー制)がコロナにはまっちゃった、ってなっちゃったのね。で、常連さんを守る為にもなるべく雑誌には出なかったのね。お客と一緒に歳をとれればいいなってスタイルを理想としていたから。本当うちはお客が変わらないの。一緒に歳とってきたの。二十歳でやってきたときからずっと。もちろん離れた人もいるし、新規もいるけど、基本お客と一緒に歳をとりたいっていうのがすごくあって。


【洋服は特別じゃないんだ、これ日常品なんだよ】


松下:僕なんかは、知り合ったのはまだ4、5年じゃないですか。だから俺の欲しかった頃のスリーラバーズのモノって、もう無いんですよ。で、めっちゃ中古で探しまくっていた時期があって。今でもそれらを着ている人たまに見かけるから丈夫だなーって。いいモノを作っているなーって。

つかもと:だから、俺もお客と一緒に歳とりたいし、お客に与えるモノも、お客さんと洋服が一緒に歳とらないとダメだと思うんだよね。シャツとパジャマの違いも分からない人が洋服を売っているのにちょっとショック受けちゃったの。セーターにミシン入っていることを誰も不思議がらなかったりとか、そういうのを見てて、嫌だな~って思って。だから俺より上の世代は良いモノを作っていたヴィンテージを頼ったんだよ。70年代以降は大量生産が始まって化繊ってものをどんどん取り入れて、だけど洋服の値段が下がらないのもおかしいなと思ったの。しまいには家で洗わないでくださいって言い出したり。高級な服ほど家で洗っちゃいけないってイメージあるじゃん?

松下:でもここは確かそう。家で全部洗っていいっていう基本がある。

つかもと:それ、なんで値段上がってるの?何に金が掛かってるの?って思うわけ。戦争から帰ってきてる人たちはクリーニング出してないじゃん。なんでそれがファッションになって値段上がってるのに、クリーニング出してるんだろう?と思って。やっぱり昔のモノって、機能性あるモノを作って、絶対ぶっ壊れないもの作るわけじゃん。だから洋服っていうのはそうじゃないとね。洗わないでくださいって、それ「衣装」だなと思って。

松下:確かにそれはあるかもわからないですね。日常で使うモノであって特別ではなくて。

つかもと:そう。洋服は特別じゃないんだよ、これ日常品なんだよ。自分の中ではタワシ売っているのとあまり変わらない感覚なんだよね。

松下:ただ、いいタワシのほうが絶対長持ちするから、ってことですよね。

つかもと:そう。洋服に限っては、おしゃれなお店で洋服買わなくちゃダメなの?個性を持たなきゃダメなの?みたいな、そういう暗黙のルールも勝手にできてるじゃん。でもそこは浅草だっていいし、俺たちはステージではなくコンクリの上を歩くだけなんだから、個性が無くたっていいじゃん。

松下:結果、ここが多分日本で一番おしゃれなんですよね、結果としてね(笑)


【知っていとる知らないで愛着って多分違うんだよ】


つかもと:お客さんが判断することだから、自分でおしゃれとは言えないけど、なんかちょっと気持ち悪いんだよね。あっちはあっちの世界もあるし、うちはうちで、小さい店だからこそできるスタイルで、通販を頼らず顔が見える商売をやっていければいいよね。

松下:でも大手の人もチェックしに来るわけですよね。やっぱりそこらへんだよなー、違いっていうのは。

つかもと:商売って、お店の看板に集まるんじゃなくて、おしゃれな町に集まるんじゃなくて、人が人を呼ぶ時代じゃないかなって本当にずっと思ってたの。俺、二十歳で始めたときって殆ど来るお客が年上だったの。

松下:そりゃそうですよね。内容的にもね。

つかもと:俺、自分の中でルールがあって、年下から服を買わないって根本があるのよ。だけど自分が始めた二十歳だったときは年上ばかりが来て、なんか申し訳ないなって思ってたの。だから、その申し訳なさを消そうと知識を入れて、ひたすら勉強したわけ。しゃべれればチャラになるかな、みたいな(笑)その人より知識を持っていればね。

松下:なんでそんな詳しいんだろう?っていうことばかりで、本当にすごい。

つかもと:でもそれは、洋服屋に習ったの。昔俺が行ってた洋服屋さんっていうのは本当にものを知っているから。この人、1着で何分しゃべっているんだよみたいな(笑)とにかく帰してくれないのよ。1個のPコートで30分しゃべってるわけ。このブランドがどうだとかじゃなくて、そんなのどうだっていいの。俺もブランド名がどうだとはあまり言いたくなくて、なんで高いかを説明してあげたいの。それをしゃべればお客さんも愛着がわくし、Pコートがなんで左右のボタンで閉められるのとか、それを知っていると知らないでは愛着って多分違うんだよ。で、洗濯もクリーニング屋に任せるんじゃなくて、自分で洗えるほうが絶対に愛着わくんだよね。彼女にも洗わせるなよ、お母ちゃんにも洗わせるなよ、自分で洗えよ、って。自分で洗うと面白いを教えたいんだよね。ファッションじゃなくて日常品という意識に変えてあげたいの。あとは、日本のファッション業界ってデニムと黒にすごい執着を持たせたっていうのが気持ち悪くて。なんでだと思う?それ。



松下:なんですかね?でも黒って本当に安牌というか。

つかもと:でもそれ思っているの日本人だけだよ。

松下:まあそうですよね。逆に、日本の黒がいいって世界が一瞬なったじゃないですか。

つかもと:80年代ね。ヨウジ(ヤマモト)さんのおかげね。でも、80年代あれが入ってくる前は、アメリカ人からしたら黒って悪魔の色なのよ。

松下:喪服ですからね。

つかもと:そう。ヨーロッパ人からしたら死をイメージさせる。

松下:あとは一部のマフィアが着る色ですよね(笑)

つかもと:そうそう。だからいいイメージがあるのって日本人だけなんだよね。でもそれは、黒目、黒髪だから馴染みがあるのよ。黒目、黒髪の日本人だからこそ絶対に黒が似合うのは当たり前。金髪の姉ちゃん、黒似合わないじゃん(笑)やっぱり日本人のほうが似合ってるよね。そんな中、80年代にヨウジさんが黒一色で世界に殴り込みに行ったわけよ。で、最初は「何でファッションに黒を持ってくるんだ?」ってめちゃくちゃ叩かれたの。だけど結果、アメリカ人もフランス人も黒をファッションに取り入れるようになったのよ。それで「黒の衝撃」という言葉ができたわけ。今俺たちが胸を張って黒を着れるのはヨウジさんのお陰。だからヨウジさんにはめちゃくちゃ感謝したほうがいい。

松下:そういうのがあるんだ。



つかもと:あると思う。色って宗教と出身地がわかるのよ。

松下:それは絶対ありますね。

つかもと:黒がそういう悪いイメージと同じように、グリーンを着てれば北アメリカ、赤を着ていれば南アメリカ、とかね。だから、色っていうのはすごく教えてあげたいんだよね。俺も黒大好きだよ。小さいときからヨウジ着させられてたから。でもやっぱり色物を知ってて黒着る人と、色物知らずに黒着る人って違うと思うんだよね。だからそれをまず教えてあげたいなっていうのがあるんだよね。で、話戻るけど、黒っていうのは日本人は絶対に疑いを持たないから、接客する側は楽なんだよね。あとデニムっていうのもそう。デニムって生地がありましてね、って今更その接客いらないじゃん、知ってるよってなるじゃん(笑)だから業界はサイズだけ出してあげればいいスタイルに頼ったんだよね。

松下:なるほど、そういう経緯もあるんですね。初めて知った。

つかもと:アメリカはあれだけ大きい国だから、北と南でスタイルも違うの。デニム1本持っていれば、何でも似合いますっていう着方に頼るんじゃなくて、これにはこれを、あれにはあれをと何通りもあるエリート気質な着方も提案したいんだよね。若いうちはいいよ。若いっていいね、って魔法の言葉があるから。歳取ったら若作りって指さされちゃうからね。



【同じ時間に、同じ場所に、同じ人がいるっていうの、俺は商売の絶対条件だと思う】

松下:スリーラバーズって知る人ぞ知る感を今でもちゃんとした形で、しかも自分でそれを好きでやっているじゃないですか。周りがどうとかじゃなくて、「いいんだよ、俺はこういうスタイルで服を提示していくから」っていうのを自分でやっているから、俺もそれに乗っかるのが好きだし。だから他で服買いに行ったりしても、友達のところでしか買わないから。そうする、本当に教育してくれる、新しいことを教えてくれる。今、本当に新品は殆どここでしか買わない。

つかもと:確かに特殊だよね。うち月に1アイテムしかモノ作らないのよ。春夏6ヶ月(6アイテム)秋冬6ヶ月(6アイテム)の年間12アイテム。だから半年間買ったら上から下まで揃う。1年間買ったら2コーディネート揃うっていう。だからセレクトショップも超えちゃって、コンセプトショップみたいになっちゃっているよね(笑)

松下:あれってコンプリートしている人いるのです?

つかもと:いるんです(笑)

松下:すごいなー(笑)

つかもと:それが圧倒的にうちは多いんだと思う。

松下:もうだから(お客の)サイズは勝手に知っているから。

つかもと:そうそう。だからその面でも店員さんに顔と体型覚えれば、こんなコロナのときなんか、「予約入れておいてください」っていうお客からの電話に対して「わかった」って返事一つで成立するから、これ一番頭いいじゃん。外出なくていいんだから。店員さんに顔と体型を覚えてもらえれば電話一本で注文できるんだよ。だから大事なのは、洋服を探しに行くんじゃなくて、信頼できる店員を探しに行くことだと思う。

松下:それってめちゃくちゃ新しいし、信頼できる店員さんがいるのってすごく大事だと思う。



つかもと:普通は秋冬立ち上がりからジャケット10型、パンツ5型といろいろ作って、その中からお客に1個選んで貰って、数撃ちゃ当たれってあのスタイルは苦手なのよ。うちスタッフ1人と俺で、2人しかいないんだよ。だったら要領よくやって、「どれにする?」じゃなく、「買う?買わない?」って提案したいわけ。だから毎月デアゴスティーニスタイルと同じですよ(笑)毎月届くんだから(笑)それでいいんじゃないかなって。これが正しいとは思わないし、大手がやっていることも商売としては、あれだけでかくなる=成功なんだからすごいなとは思うけど、自分はあれできない。やっぱり1つのモノに1時間しゃべってあげたいのよ。「なんでこれが高いかわかる?」みたいな。「色も覚えようね、今後はこうしてこうね」って説明して、最後はお客と一緒に「歳とったね、俺たち」なんて言いたいよね。更に服売って終わりじゃなくて「最近どうだ?男と上手くいっているのか?女と上手くいっているのか?仕事どうだ?」って世間話もできるのが、俺みたいなこういう小さい店の特権だと思うんだよね。同じ時間に、同じ場所に、同じ人がいるっていうのが、俺は商売の絶対条件だと思う。そしたら駆け込み寺になるから。いるから来てくれるわけじゃん。今日はいないだろうな、って日がないわけじゃん。そういう状態を作ってあげないと。

松下:言われてみれば確かにそうですね。今日店長いないですよっていうの、他の店は普通にあるもん。

つかもと:俺、絶対いなくちゃダメだって自分の中にあるのよ。洋服屋を駆け込み寺に俺もしてたときがあるからね。洋服買いに行かなくても人生相談しに洋服屋に行ってたんだから。ちょっと聞いてくださいよ、みたいな。それを俺もお客の為に用意しておかなくちゃね。こんな時代だから余計そうじゃん。だから、休みの日まで使って来るような店にはしたくないの。仕事で嫌なことがあってイライラしてるなら帰りに来て、洋服で気分変えろよ、みたいな。洋服ってやっぱり人の気分変えるのに一番身近だから。家変える、車変える、仕事変える、これ全部パワー要るじゃん。奥さん変えるって言ったら怒られるよ(笑)だから洋服変えれば気分も変わるよって。新しい靴を履いて朝出かけたときってめちゃくちゃ気分いいじゃん。これが洋服のパワーだよ。で、更にそれが一緒に歳とれるぐらいまでものを作ってあげれば絶対喜ぶから。

松下:これは本当すごい。カッコイイ。

つかもと:それで来年ぐらいに潰れてたら、話違うじゃねえかよってね(笑)

松下:いきなり辞めそうで怖いけど、潰れるは絶対に無いと思う。


【最終形態はマンションの一室】
つかもと:あと、スタイルはもうちょっと変えられるなっていうのはあるし。地下時代(移転前のお店)って倉庫っぽかったじゃん。で、ここは美術館ってイメージがあるの。

松下:確かに。事情というのもありますけどね。隠れ家感が無くなりましたよね。

つかもと:入り口は閉め切って、ちょっと美術館っぽく見せたいなっていうのはあって。

松下:このドアもたまたま青なんですね。すごいいいですよね。



つかもと:最終形態はマンションの一室に行きたいな、っていうのはある。もっと日常寄り。洋服屋さんってテーブルに靴置いて、オレンジのライト当てて、それが本当に日常品かなって今でもちょっと気持ち悪いの。家帰って靴をテーブルの上に置く人いる?いないよね。みんなここで買ったものを日常に持って帰って、TVが点いてたり、自分のおばあちゃんが歩いてたり、ってとにかく日常にガッと戻るわけでしょ。だから、雰囲気でモノ売っちゃうと、お客が家帰ると冷めるはずなんだよね。だからマンションに1回籠りたいんだよね。靴は玄関にあるべきで、食器を売りたいんだったら台所にあるべきで、洋服はラックとかじゃなくてクローゼットにしまっておくべきだよ。で、そのマンションのスタイル、生活スタイルと日常を見せながら、ここにあるものは全て売り物です的なね。日常にあってもカッコいいのが本物だよね。それで月一のもので12個見せてあげればいいじゃん。それを最後の形態ではやりたいかな。

松下:すごくない?今日俺、何もエスコートできてない。最初っから最後まで(笑)

つかもと:最後に質問コーナー設けよう(笑)何でもいいよ?


【人が寄ってくるのは情報、目だよ。だからそれを何かお手伝いしてあげれたらいいな、っていう想いがある】



松下:大体聞けちゃってるんだけど、でも何だろうな?ここ来る人、ミュージシャンも、俺も自分のこと言えないけど、変わり者って言い方変していいのかな、どこかにすごいこだわりある人が集まってきてるじゃないですか。あれって呼応するものがあるんですか?もともと選んでいるわけじゃないですよね?

つかもと:俺が?選んでない。ミュージシャンが何でこんな増えたかは俺もちょっと分からない。

松下 俺も誰かの紹介とかではないですし。

つかもと:そうでしょ。だからやっぱり何か同じものがあるんだろうね。ものを作るっていう感覚なのか、わからないけど、ミュージシャンがなんでこんな増えたのかちょっとわからないんだよね。

松下:しかもそれであとから知り合うことがすごく多い。おお、スリラバ着てるじゃんってすごいあって。朝倉さんも多分ここが先で、あとから会ったと思う。

つかもと:でもね、やっぱりアイゴン(會田茂一)さんがでかかったかも。初めて来たミュージシャンは俺が高校生の時に大好きだったアイゴンさんだったのよ。アイゴンさんって、やっぱりこの世代だともう上の人で、いろいろなプロデュースもやってて、うちの服着てめちゃくちゃうろちょろしてくれたの。で、その靴何ですか?そのパンツ何ですか?って感じですごく広めてくれたっていうのがあると思う。それで俺、ミュージシャンがすごい増えたのかなとは思っている。

松下:確かに靴いつも履いてますしね。ジャケットも絶対スリラバだし。俺もレコーディング仕事何回か振っていただいて、会ったときも絶対着てるもん。

つかもと:だからうちなんでこんな生き残れたかって、お客がお客を呼んでくれたんだよね。

松下:それって多分、俺は思うに、これもつかもとさんが求めているかどうか分からないけど、ここで買い物できてるんだぜっていうのって、かっこつけになる。俺は少なくとも30代前半のとき「俺スリラバでさ‥‥」ってアパレル関係の友達とかミュージシャンとかに話すと、「知り合いなの?」とか聞かれて、そのときめっちゃ誇らしいから、なんかもうオラつけたんだよね(笑)それここで買ってるみんなも少なからずあると思う。スリラバで服買っているんだよって、ステータスって言い方するとちょっとダサいけど、ちゃんと自分のこと好きでいられるみたいな。そういう感じがすごくして。だから人が人を呼ぶっていう。

つかもと:だから最初に、お客がお客を呼ぶって思っているから、最初は絶対目利きしなくちゃダメなの。いい人の横にはいい人がいるし、変な奴の横には変な奴がいるからね。だからうち、本当お客も上質だし、すごい恵まれたなって思う。生地の切れ端でオーダー入れてくれるんだよ(笑)「想像力豊かにしてごらん?これがパンツだったら」って(笑)それ普通あり得ないよ(笑)

松下:もう宗教っす。完全に。この布を見てごらんって(笑)



つかもと:普通は形になっていないと嫌だし、今すぐ履けないと買わないよね(笑)生地の切れ端だけでオーダー入れてくれるお客には、信用されている分変なモノは絶対に作れないよね。

松下:俺、新品で買って着てるTシャツって数枚しかないけど、そのうちの2枚がここ(スリーラバーズ)なんです。これ、もう6~7年着てますよ。

つかもと:それアメリカ製のやつだよね。

松下:そう、USAのやつ。これがもう5、6枚欲しいんだ、本当は。一時期中古でも探したし。でも全然なくて。破れないからみんな捨てないし、脱色しても白で全然強いから。すごいんだよね、当時としては。

つかもと:あっちじゃないとできないからね。

松下:でも本当に思ってた以上でした。お話聞くとやっぱ骨あるなと思う。さっき言った古着とかにロマンを持つよりも、服を大事にしていくっていうことのほうが面白いし、しかもそれを「大事にしろよ」って言っているわけじゃないのがまたいいんだよね。だって次のモノ出てくるわけだから。でもそれが、アウトファッションになるわけじゃなくて、知っているわけじゃん。つかもとさん、トレンドをずっと見てきているから、次こんな風になるなとか多分あると思うけど、そういうのじゃなくて、いいものはいいっていうのであれば絶対いつかまた着れるというのがあって。

つかもと:そんなかっこいいものじゃないしね、ファッションって。いや、本当そう。ファッションってみんな憧れ過ぎだし、憧れさせ過ぎだよ。綺麗に見せすぎたよね。

松下:日常と思って接するっていう。洗濯機で洗えるとか、そのへんがすごく信憑性があるし。

つかもと:3回深呼吸したら案外おかしいこと言ってるんだよね、洋服屋って。洗うなとかさ、古いモノにロマンなんてないから(笑)家は新築がいいって言ってるのに、なんで洋服だけ古くないとダメなの?って(笑)

松下:俺も同じこと言われたもん(笑)

つかもと:新品じゃダメなの?作り直せるんだから。家具とかのこういう木目は絶対同じ木ではもう作れない。ギブソンもそうじゃん。59年がいいとか。これは作り直せない。だけど洋服は作り直せるんだよ。あとは自分の美意識の問題で、決して高いモノじゃなくてもいいから綺麗なモノを着ていればいいよね。汚い人の格好の後ろに、絶対女と仕事って並ばないんだよね。やっぱり綺麗な人に仕事振りたいじゃん。綺麗な格好の人と汚い格好の人に仕事を任せるのに、どっちか選ぶなら多分綺麗な格好の人を選ぶんだよね。だから、綺麗な格好を教えてあげたいんだよ。手助けしてあげたいんだよね。みんないい人だって分かるんだよ。汚い格好してる人もいい人だよ。だけど、最初は離れてたら目からしか情報ないんだもん。人が寄ってくるのは目という情報だよ。それのお手伝いをしてあげたいの。やっぱり人が集まらないと俺たち何もできないじゃん。だからそれを何かお手伝いしてあげれたらいいな、っていう想いが強くあるんだよね。

松下:今日も勉強になりました。ありがとうございます!

つかもと:お疲れでした!


「あとがき」

着る物ってやっぱ自分の好きなものがいいじゃない?”らしさ”みたいなのってしょっちゅう変わるし、人によってはずっと同じものは無理って考えの人もいると思う。俺も自由に着たいもの着るけど、この5年は新品買う時最初に寄るのはここ、The Three Robbers。 以前このシリーズで対談させてもらった、Blinc矢澤さん(退社しちゃったけど)や、ラーメン由の由貴子ママとか、今回お話聞かせて頂いたつかもとさんって、俺の中で何かをリセットしにいく場所を提供してくれてる人達なんですよね。つかもとさんに関しては初めて会った時、洋服ってこういうもんでしょ?っていう俺のロマンみたいなのを完全にぶち壊されてw
それからはずっと勉強させてもらってるし、毎回顔出すと新しい刺激を顔面めがけて直球で投げてくれるw隠し事なく自分の作ったものを嬉しそうに説明してくれる時は、逆に随分年下のシンプルに洋服オタクの若者に見えたり。。。
面白くて、かっこよくって、怖くって、ちょっとかわいいアニキ。これからもリセットしにいくのでご指導よろしくお願いします❤


対談者:つかもとたかし
話し手:松下マサナオ
撮影/編集:BUNCA


対談者PROFILE
つかもとたかし/ THE THREE ROBBERS

HP:http://thethreerobbers.com
Instagram:https://www.instagram.com/thethreerobbers/?hl=ja

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▼Favorite Movie
the prisoner/パリところどころ

▼Favorite Music
會田茂一/レキシ/上原ひろみ

▼Favorite Fashion
Yohji Yamamoto

▼Favorite Book
The Three Robbers by Tomi Ungerer(すてきな三にんぐみ by トミー・アンゲラー)

▼Favorite Photo
August Sander「People of the 20th Centure」

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Author Profile
松下マサナオ
長野県飯田市出身。
17歳でドラムを始め、大学卒業後に渡米し、Ralph Humphrey、Joe Porcaro 等に師事。
現地の優れたミュージシャン達と演奏を重ねながら、2年間武者修行をする。
帰国後はストレートジャズからパンクロックまで様々なジャンルで活動。

2009年に自身のバンド、Yasei Collective を結成。

2012年に FUJI ROCKFESTIVAL 出演、2013年にはグラミー賞にノミネートされた US ジャムバンド、Kneebody との Wリリース・ライヴを実現。

2014年には日本を代表するドラマー、村上"PONTA"秀一氏率いる NEW PONTA BOX と異色のツインドラムセッションを行う。また同年、凛として時雨のドラマーであるピエール中野氏のソロプロジェクト『Chaotic VibesOrchestra』への参加。

2017年には、デビッド・ボウイ最後のドラマー、マーク・ジュリアナとツインドラムでの共演、ベニー・グレブやブレインフィーダーのルイス・コール等の来日公演でゲストアクトを務めるなど、海外との交流も深い。

2018年、NYレコーディングによるヤセイコレクティブ5枚目のフルアルバム"statSment"をリリース。同年9月にはリズム&ドラム・マガジン9月号の表紙を飾る。

2020年、豪華ゲストをフィーチャーしたヤセイ結成10周年のデジタルリリースシングル絶賛配信中。
Yasei Collective,Gentle Forest Jazz Band, HH&MM(日向秀和×松下マサナオ)
   二階堂和美、ハナレグミ、藤原さくら、東京03、バナナマン、cero、mabanua、kid fresino、前野健太、NakamuraEmi、日向秀和(ストレイテナー)、Toku 他多数
公式twitter @ChanmerYasei
公式Instagram @masanaodrummer
公式YouTubeチャンネル Masanao Matsushita

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