松下:僕がBUNCAと一緒にやらせて貰っているNo Shortcuts は様々な業界の気になる人物を呼んで対談させてもらってます。今回はVol.10スピンオフとして、いつも刺激を貰っている個人的に大好きな下の世代のドラマーに集まってもらいました。今日はよろしくお願いします!まずは自己紹介とそれぞれドラムをいつから始めて、何年目か教えてください。あと、まー好きな食べ物とか(笑) Twitter:@shunsukedrums Twitter:@ElVaila Twitter:@so_kanno Twitter: @toyoyoaki Twitter:@TakemuraJin Twitter:@YukinoMatsuura Twitter: @kent_watari 好きなことを好きなようにやってて、やりたいことやったもん勝ちな彼らが大好きです。みんなで真剣に音楽してこれからも頑張っていこうぜ!みてるひとは必ずそこにいるぜ!遊ぼう!飲みにいこう! クラウドファンティングを立ち上げたい方はコチラから
竹村:竹村仁です。中学3年生からなので、ドラム歴7年目です。好きな食べ物はイクラです。
菅野:BREIMENのドラム、菅野颯です。中学2年生から始めたので、ドラム歴9年目です。好きな食べ物は魚です。よろしくお願いします。
松浦:ドラマーの松浦千昇です。7歳から始めて、ドラム歴15年目です。嫌いな食べ物は数の子です。
竹村:俺も数の子食べられない。
松浦:でもイクラは食べられます。
松下:プチプチプチって独特なんだよね。じゃあ次の方、お願いします。
関根:ドラマーの関根豊明です。11歳から始めて、ドラム歴13年です。僕の好きな食べ物はナスです。よろしくお願いします。
上原:ドラムの上原俊亮です。ドラム始めたのがおそらく3歳ぐらいで、ドラム歴20年目です。最近コンビニに売っているパックのフルーツが、手軽に食べれるのですごく重宝しています。
繪野:繪野匡史です。高校2年生からなので17歳から始めて、13年目になりました。好きな食べ物は数の子です。
一同:(笑)
渡:渡健人です。12歳から始めて、ドラム歴15年目です。普段は東京塩麹っていうバンドで、ドラム叩いています。最近だと右手でサンプルを弾きながら、左手でドラム叩くっていうのをやっています。
松下:俺の家のスタジオでやってる動画にも出て貰って。( HIDEOUT SESSIONS” Vol’5 )
彼は右手でシンセ・左手でドラム、俺は左手でシンセ・右手でドラムをやったんだ。曲は彼とアイデアを出し合ってその日に作ったんだけど、むずかしすぎて次の日全然覚えていなかった(笑)まぁそんな感じで改めてよろしくお願いします!
一同:お願いします!
松下:俺はドラム始めたのが高校1年からで遅かったから、今が38歳なので俊亮とキャリアあんまり変わらないよね。沖縄でドラム叩いていたんだよね?
上原:そうですね、ずっと。
松下:もう外国のお方ですね。3歳からドラム叩くって、すごいことだからね。
上原:でももう覚えてないんですよね。親父とかが話してくれただけなので。
松下:それ傷つくから、中二ぐらいからに変えようよ(笑)それで天才なほうが気持ちいいもん。3歳からやっとったんかいって!なる。
関根:バイオリンとかピアノの感じですよね(笑)
松下:松浦千昇くんも早いよね。
松浦:そうですね、7歳からです。親父が見ていたLOUDNESSのライブ映像見ていたんですよ。樋口さんドラムセット派手なので、ドラムセットしか見てなかったです。ずっとドラムセット見ていたら、親父がドラムやってみなよって言われて、軽い気持ちで始めました。
松下:なんか言葉悪いかもしれないけど、日本の天才ドラマーって若くから出てくる人って親の影響がとても大きいじゃない?ハードロックやフュージョン好きな大人が日本には多い時代だったのかもだけど、たまに見てられないんだよね。。
一同:(笑)
松下:でもここにいる人はそうではなくて、リアルに今の欧米の音楽と渡り合えるセンスとスキルを持っている人達だと思うの。どうゆう環境で今に至るのか、それぞれ自分のキッカケってあると思うけど、なんで今のその自分のスタイルになったのか気になる。例えば渡くんだったら鍵盤と同時プレイやってて、さらに(東京)塩麴とかすごい難しい音楽もやってる。それ生でやる?みたいな。それがカッコイイと思えるそのセンスとかさ。菅野くんなんかはオシャレな上にテクニカルだし。オシャレとか言い方によっちゃすげーだせー言葉なんだけど、本当に大事なのよドラマーにとって。ここのみんなはすごいテイスティー。みんなそれぞれがやってることが。まぁエノはお金たくさん払ってくれるところでしか叩かないっていう噂が…
繪野:いやいやいや(笑)
一同:(笑)
松下:まぁそれは置いておいて、それぞれ自分の中で分岐点となった出会いでもいいし、音楽でもいいし、そういうの聞きたいな。それぞれおもしろい話があると思うので。おもしろくなくてもいいから(笑)
菅野:最初Jフュージョンはまりで始めたんですけど、途中でゴスペルチョップスみたいなテクニカル繋がりでいって、ゴスペルのミュージシャンって洋楽のメジャーなアーティストのバックとかやってるから、それで洋楽っていう音楽自体にもはまった。ヒップホップとかもガッツリはまって、そういうブラックミュージックにいって今に至るって感じです。
松下:メインはR&B寄りのスタイルだよね。なるほどね。やっぱそれぞれあるよね。
繪野:僕もフュージョンとかプログレ(プログレッシブ・ロック)とかテクニカルな音楽から入って、そこがルーツだったんですけど、師匠の村石雅行さんがKENSOっていうバンドをやっていて、それがすごい難しいことをいろいろやってるのにフレーズが歌っててポップスのような聴きやすさがあったんですよね。それでゴスペルチョップスとかもいろいろ勉強しつつ、海外にも通用する歌えるドラムを追求していこうと思いました。
松下:なるほどね。村石さんとの出会いが大きかったんだね。そこで習いに行こうと決めたの?
繪野:そうですね、父親がずっと好きで、その影響もあって。小さい頃から村石さんのドラムを聴いて育ったので。
松下:ドラマーになりたいって言ったとき、親に反対されたりした人っていないの?
一同:(無言で首を振る)
松下:それだよね、一人もいない。俺は高校でドラムを始めて、卒業する頃プロんなるどーって伝えたら親に大反対されて。父親が自分の設計事務所を持っていて、長男だから後を継ぐと思ってたらしくて。小さい頃から割と英才教育的なのを受けてた。でも、THE YELLOW MONKEYとか、Hi-STANDARDとか日本のバンドにはまって、そこからなぜかジャズにいったんだけど。高校2年生の時に学園祭でやったライブが超楽しくて、これならやっていけるかもって。だからドラム始めた頃にプロになろうと思った。親に「とりあえずどこでもいいから4年制の大学出てから考えたらど?」って言われて入った大学で今のYaseiのメンバーとかジェントルのメンバー、在日ファンクのメンバーとかと出逢った。その頃からアーティストしか周りにいなくなって、結果あの大学に入ったからこの業界に入ったようなもん。ラッキーだった。だからみんな親がやってみ!って後押ししてくれる時代っていうのがすごい良いよね。うらやましー。
松下:やっぱ親ってデカイんすよ、多分みんなが思ってるより。本当に感謝しなきゃだとは思う。小さい頃にいろんな景色を見せて貰えなかったら、この人付き合いの感覚とか、今持ってる自分のスキルは絶対身につかなかっただろうし、俺は俺の両親で良かったと思う。それにしても3歳、7歳からドラム始めたとか…はぁ。
一同:(笑)
松下:ここにいる全員を同じくらい尊敬してるし、素晴らしいと思うけど、特に千昇は多分ドラム知らない人からみてもこの人すごいってわかると思うし、俊亮はどこの現場代わりにふっても大丈夫っていう安心感が既にある。独特なんだよね。まー君ら全員独特なんだけど。やっぱりそれってドラムやっている歴ってのももしかしたらあるのかもしれない。座った瞬間に別に緊張しないしって感じが2人からは見える。本当はしてるのかもわかんないけど。
上原:バリバリしていますね(笑)汗止まらないですよ。
松下:えー本当?そうは見えない。繪野はRADWIMPS等もやってるし俊亮はTV仕事けっこうやってるし、菅野くんはkanちゃんとか。みんな各々やってるじゃん?でもさ、まだ関根君はまだあまり存在を知られていないじゃん?たまたま彼をプレイ見てすげーと思って、知らない人なのに呼んじゃったの今日。なんで今のドラムスタイルになったの?
関根:ドラムを始めたきっかけは、TOTOとJouneyなんですよ。完全に親父の影響なんですけど、 ジェフ・ポーカロを聞いて、このカッコいいノリはなんだろう? スティーヴ・スミスのJouneyでのドラムソロを聞いて、なんかドラムかっこいいじゃんってなりました。他に影響を受けたのはスティーリー・ダンとかでした。そうすると、やっぱスティーヴ・ガットとかにたどり着いて、そうこうしているうちにスティーヴ・スミスの影響もあって、ちょっとずつジャズを聴くようになりました。そのうちに自分はジャズに興味あるんじゃないかと思うようになって、その結果、洗足(洗足学園音楽大学)に通うようになった感じですかね。
松下:出身は東京?
関根:そうです。親父がベーシストだったんですよ。なので僕にも音楽で頑張ってほしいっていう思いがあったみたいで、応援してくれました。大学でジャズをベーシックとしたアンサンブルの勉強をしたので、その4年間でジャック・ディジョネットが好きっていうところまで辿りつきましたね。
松下:先生は誰だったの?
関根:岩瀬立飛さんと原大力さん、その二人が僕の師匠です。
渡:僕もジャズやっていたので、関根君が言ってることすごく共感できます。僕も大学のサークルで4年間どっぷりジャズやってきて、ブラックミュージックに入ったのもジャズきっかけなんですよね。
松下:ジャズこそブラックミュージックだもんね。
渡:そうですね。僕もジャズへの入り口が関根君が今言っていたのと一緒で、スティーヴ・スミスとかを聞いて、ジャズっぽいものカッコイイじゃんってなって。大学に入って、ジャズを知らなかったから勉強しようかなと思ってジャズ研とかに入ったらはまっちゃって。その後しばらくジャズでやってたんですけど、他にもいろんな音楽が好きになって今のような感じになっています。演奏スタイル的には元々はジャズが入口で。感じてるものも一緒だと思います。
松下:ディジョネットに行きつくって面白いよね。マジで半端ないよね。
関根:ジャック・ディジョネットはやばいですよね。
松下:アバークロンビーとのGatewayってあるじゃん?あれのファーストのドラムとギターだけで演奏する曲めちゃくちゃカッコ良いよね。でも君の世代であーゆうの聴くって珍しいよね。
関根:僕、結構新しいものに弱い傾向があるので、古いものに行きがちなのかもしれないですね。別に嫌いとかではないので、聞くんですけれども。
松下:竹村くんはなんでドラム始めたの?
竹村:一番最初は中学生の時で、当時YouTubeやニコニコ動画で「叩いてみた」が流行っていたんですよ。あとONE OK ROCKがめっちゃ好きで。それが始めたきっかけなんですけど、高校入ってから途中で中退して東京に上京してるんです。
松下:出身はどこなの?
竹村:出身は大阪です。
松下:そうなんだ、全然大阪って感じ出さないよね?
竹村:いや、出ますよ全然(笑)でも、よく言われます。で、アメリカのシーンに興味を持ち始めたのは、高校3年生の時にRC&The Gritzにはまったんですよ。そのドラムのCleon Edwardsにもうこの人になりたいってぐらいハマって。もうなりたすぎて服装とかも全部真似しました。去年とか来日してて、あの時ちょうどCleonが来れないってなってて、多分シュンさんづてで連絡が来て、「代わりに出たら?」って言われて。結局、Cleon来たんですけどね(笑)ごめんねーってなって…。
松下:てか、それ俺にも話きた。ブルーノートでしょ?
竹村:そうです、ブルーノートです。
松下:一徳(tp)から連絡来てたしか何人か紹介してって言われて。俺が2日間のうち1日しか出れなくて。で、誰かいる?って言われたときに、それこそ俊とか仁とか何人か名前出したはず。すごいギリギリだったでしょ?4~5日前とか。でも最終的には本人来て大丈夫だったんだね。
竹村:そうなんです(笑)で、そのあとにトラップにはまり始めて、今はトラップしか聞いていないです。あと自分で作ったりとか。
松下:それぞれやっぱり親の影響だったり、出会った音楽から派生して、みんなジャズの方向に一回はいっているんだね。俊亮はジャズやる?
上原:僕はジャズできないですね。全然やらないです。
竹村:嘘だー(笑)
上原:マジで全然やらないですね。
松下:できるけど、やらないんでしょ?
上原:たまにやらせてもらう機会があってやるんですけど、自分で叩いてても全然ジャズがわかっていない人が叩いているわーってなっちゃうんですよ。
松下:そんなことないけどね。
竹村:でも、この中で一番ジャズができないのは僕です。
繪野:僕のほうが出来ないです。
竹村:いや、もう譲れないぐらい出来ないです(笑)
一同:(笑)
松下: 繪野はたしかに本当にジャズやらないよね。
繪野:そうなんです。すごい興味はあるし、やってるとすごく楽しいんですけど。勉強中です。
松下:じゃあ今後レッスンで結構ジャズやらないとね。でも俊亮のテクニックはジャズに使えるよね。手首で細かい音を出すとか。
上原:ジャズって分からないんですよね。
松下:俺もあんまり分かってないよ。レコーディングの時とか、ジャズ神さま降りてきてよ!ってスネアずっと叩いている時もあるけど、降りてきやしない。結局、自分なんだよね。今のジャズメンってしょっちゅうメジャー現場に駆り出されてさ、俺もジャズメンとは言えないけどジャズもやりつつ、サポートとかしつつ色々やってるし、石若駿とか最たる例で。彼が出てきて色んなことが変わったと思うよ。ジャズで頑張っていこうって思ってる人達の希望になってるかもしれないけど、人によっては絶望にもなったと思う。彼よりちょっと上の世代とかには特にそうだと思う。俺とかは年も10違うし兄弟みたいな感じだから仲良くやってるけど。
上原:そうですね。
松下:君らがその次の世代になると思うのね。25、6歳にみんながなった時に、初めて「俺、今イケてる」って感じになると思うのね、メンタル&フィジカル的に。でもその瞬間にその下の世代が来ていて、彼らが君らを見て絶望と感じるのか希望と感じるのかってのは、それぞれのやり方次代だと思う。なんかあの人怖いとか興味ないとか思われるだけでも、めちゃくちゃ損じゃん。絶対この人と一緒にいたら面白いって思われるような先輩でいた方が多分得だし。俺が勝手に期待しているのが、君らが30代に近づいた時に下の世代のすごいミュージシャンがどんどん増えてきて、全国に各地に君らレベルの人等がいて、そこでシーンが出来上がってきたらアメリカみたいに西行って録るんだったらこの人、東に行って録るんだったらこの人みたいになって、そしたら地方の音楽シーンも潤うじゃん?もしくはドラム録音して送ってよみたいになったら、すごい良いなって思う。東京だけじゃない感じ。
一同:(頷く)
松下:今日もこの後大阪だけど、ライブ後に音出しに行くところがほぼない。名古屋とかもいい飲み屋はたくさんあるけどコロナ関わらず深夜に音が鳴っているところは少ない。海外行ったらニューヨークは特別だけど、波が来ているのは11時以降じゃん。日本ではその時間にセッションできるとこ少ない。そういうのを変えていって欲しいからさ。僕たちは無理だったんですよ、頑張ろうとしたけど。助けてくれる人もいなかったし、エレクトリック神社だけだね。暗い話になってきてごめん(笑)
一同:(笑)
松下:あと多分こんな質問聞かれまくったと思うけど、一番影響を受けたドラマーか、今気になっているドラマーでもいいので、一人ずつ教えて。
菅野:それこそこの3人(菅野・竹村・松浦)でよくつるんでいるので、3人ともめっちゃ好きかもしれないけど、Cj Thompsonっていうゴスペル系のドラマーがいて、ゴスペルが好きってのもあるけど、フィジカルがすごくて、ずっと好きなDerrick Hodgeっていうベーシストが好きで、彼のDerrick Hodge名義のライブで、Cj Thompsonがジャズっぽいアプローチを演奏したライブがあって。その映像が好きで、ゴスペルとかちょっとしたジャズバーでもバキバキやってるし、ゴスペルっぽい要素をうまく昇華してやっているから、めちゃくちゃカッコ良くて。
松浦:僕が東京来て一番影響を受けているのは、今でもずっと映像を見てるくらい好きで、ジャスティン・タイソンです。どこにいってもジャスティン・タイソンだなーって思います(笑)
松下:途中からマークの代わりに入ったよね。あれで一気にバンド変わったよね。縦が半端なく明確になってさ。
松浦:変わりましたね。当時マークからジャスティンに変わったときに、このアルバムツアーは曲の雰囲気的に全部マークで回りきった方がよかったんじゃないかと思っていました。ただ最近になってようやくジャスティンに変わった由がなんとなく分かってきました。スピード感が半端ないので、今でもずっと好きです。
松下:ジャスティンタイソンって何歳?
松浦:それ僕もずっと調べてたんですけど、アメリカに行った友達がジャスティンに会って聞いてくれて、今年29歳みたいです。若いとは聞いてましたが、まだ20代みたいです。
松下;とにかく早いよね。スピードが。なるほどね。
渡:僕はシンプルに一番影響受けているのは、ディーントニ・パークスですね。右手でシンセ弾いて、左手でドラムを叩くっていう僕と同じスタイルでやってる人なんですが。JD Beckとかもめちゃくちゃ好きなので1人に絞るのはすごい迷うんですけど。
松下:JDはマジ自分の得意技でやってるよね。そこがマジすごいよね。テンポが違っても手癖で全部同じところに持ってくからね。
渡:そうなんです(笑) 6連とかでチェンジアップして、クレイジーにしていくあの感じが大好きです。それでも、スタイル的なものや音楽性的なことを加味するとかなりディーントニ・パークスの影響が大きくて。彼はドラマーっぽくないんですよね。テクノアーティストみたいな感じの音楽の捉え方をしているなと思います。
松下:最近アルバム出してる?
渡:良く出してます。よく作品作ってて、この間も新しいのをWe Are Dark Angelsっていう名義のグループで出してました。「今これなの?!」って思うような古いシンセミュージックみたいので、ちょっと笑えるくらい独特でした。
一同:(笑)
関根:僕が一番影響受けたのはジャック・ディジョネットですね。アンサンブルのやり方とか音楽の取り組み方っていう意味で一番勉強して一番影響受けた憧れはジャック・ディジョネットなんですけど、最近僕の中で一番ヒットしたのは、デリック・ホッジとグラスパーとクリス・デイヴのトリオのライブ映像です。
松下:クリス・デイヴはやっぱマジですげーから。2014年ぐらい、ドラムマガジンのクリス・デイヴ特集で4ページぐらい書かせてもらったの。みんなあまりピンときていなかった。すごい速い人?みたいな。ギャレットのバンドでやっていたイメージを持ってる人がまだ強くて、俺の中のクリスって割とグラスパートリオ時にアラン・ハンプトンとやってる映像が衝撃的で。超かっこよかった。なんか異次元だったし、全部がテイスティだった。
上原:僕が一番影響受けたのは、デニス・チェンバースになるんですけど、ジョンスコのアルバムに参加しているデニス・チェンバースのドラムを聴いて、この人ポケットがめちゃくちゃ気持ちいいドラムを叩くなと最初に思って。同じ時期に色んなドラマーを聴いてて、パット・メセニーが好きで、アントニオ・サンチェスが加入してからのアルバムを結構聴いてましたね。だからアントニオ・サンチェスとかオラシオ・エルネグロ・エルナンデスとか結構ラテンが強いんですが、それでめっちゃ聴きまくって左足のクラーベを練習して耳コピしました。
松下:同じ時期かもう少し後かもしれないけど、ブレッカーのラージ編成のやつをサンチェスがやってて、めっちゃ良いよ。割と大人しめでサンチェスっぽくないっていうか。まーサンチェスっぽいんだけど(笑)曲も超カッコイイし。遺作になったピルグリメージ、あのヴィジョネットも破壊力が半端ないよね。
繪野:上原君と聴いてきた音楽は結構被ってるんですけど、一番聴いたのは変態な…ヴァージルドナティっていうドラマーです。本当にずっと聴いてて。
松下:俺全然通ってなくて。マルコミネマンとかトーマスラングとかヨーロッパフュージョンな人達。
繪野:だいぶ攻めたフュージョンみたいな。メタルとかプログレをやってみたいと思ったのもヴァージルがきっかけで、他にはそれこそヴィニー・カリウタとかもずっと聴いてました。
松下:みんなの聞いたけど、ヴィニー好きが意外といなかったね。1人くらいいるかなって。
一同:みんな好きですよ!
松下:2006年から2年間ロスにいたからさ、当時現地で神様だったのヴィニーは。こっちだとヴェックルと双頭みたいな感じがあるじゃん。そういうの一切なくて、完全にヴィニーだったね、あの頃は。そんなにファンじゃなかったけど、生で初見で叩くヴィニーを見た時はマジでやばいなと思った。自分でセッティングして譜面もらって即ショーがスタートして、トラで来てたのに(ジョー・ポーカロの)誰よりもオントップでノーミスだった。
あと、意外と皆からトニーの名前も出てこなかったなと思った。
関根:トニー好きですね。けどジャックのほうが好きです。一番影響を受けたのは、ジャックですね。
松下:関根君の色々とツッコミどころのある発言の仕方がいいね(笑)●●●の方がいいって平気で言っちゃうところ、可愛いわ~(笑)
一同:(笑)
松下:生意気なくらいがいいよね。帰国した時って25、6歳だったんだけど、本当は俺はジャズメンにマジでなりたくて。でもジャズ業界に入らなかった理由があって。今だからもう話していいと思うけど、当時はめちゃくちゃ凹んで音楽やめようかなと思った瞬間があった。尊敬しているピアニストの石井彰さんとベーシストの安ヵ川大樹さんとライブした時のこと。石井さんは飯も連れてってもらってたから知ってたんだけど、安ヵ川さんとは会うのも初めてでさ。彼は空き時間シャドー(ボクシング)してたからその時点でちょいこえーじゃん?俺は楽屋に入って何も知らずに奥(上座)に座ってしまったの。そしたら「お前、なに上座に座ってんだよ。●●さんのバンドだったらソッコークビだぞ、バカ野郎」ってキレられて、マジかと。。。思った。
一同:(笑)
松下:向こう(米国)のオープンすぎる生活してたから、全然日本のそういうカルチャーが分からなくて。すみませんって萎縮しちゃって、同時にこんなところいたくないと思っちゃったの。俺は楽しくやりたかった。それでジャズは楽しい人っていうか自分がやりたい人とだけやろうって決めて、Yasei Collectiveをめっちゃ頑張ったの。で今の自分がある。だから安ヵ川さんがいなかったら今の自分が無いとすら今は思ってる!いつかまた共演させていただきたいな。
みんなもこれからそういうのあると思うから。その時にみんなはどう次の一歩を踏み出すか。もしかしたら「悔しい!絶対上手くなってやる!」って感じになるかもしれないし。俺はあれを機に考え方変わったし心も強くなったし感謝してる。まだそういう感じに怒られたことないでしょ?怖い兄貴みたいな人がいるの大事だよ(笑)
一同:(笑)
最後に、これだけはやってて良かったって事があれば教えて欲しい。何でもいいけどできればドラムの事に関して。
渡:「めちゃくちゃ音楽を聴く」ですかね。特に色んなジャンルを聴きます。流行っているものからニッチなものまで名前見たらとりあえず聴いてみるってやり方をしています。それが無いとディーントニ・パークスには出逢えて無いですし、これはやっててて良かったなと思います。
松浦:新しいのも古いものでもオススメされたら全部聴くように昔からしてて、それは今でも良かったかなと思います。練習も勿論ずっとしてて、してなかったら今のスタイルは無かったかなと思います。
松下:今まで練習したことないですって言ったら、多分ぶん殴られると思うよ(笑) 嘘つき!って。
一同:(笑)
松浦:昔から音楽の聴く幅がすごく狭かったので、広くしていく為に。それこそ渡さんと少し話が被るんですが、自分で広げる為にYouTubeならプレイリストで気になったらどんどん押していくんですけど、教えて貰ったものは全部、先入観で選ばずにとりあえず聞いてみるっていうのは昔からやっています。
上原:僕は逆に狭いところを深堀ってきてたんですけど、1つのことでも突き詰めることができれば自分の強みにして、しかも今の時代ってYouTubeとか何でも自分で発信できるので、ある程度のことが出来る人は結構いると思うんですけど、1つのことをめちゃくちゃ極めて「なんだこいつ」って思われればシンプルだけど生き残れるのかなと思ってます。
松下:確かに俊亮のスタイルはそういったところあるよね。これだけは「俺です」っていうのが見えてるよね。
上原:最初はそれでも良いんじゃないかなと思っていて、後からそこを突き詰めてだんだん興味が出てくるだろうし、自分が興味出てきたときに勉強するのが1番入ってくるし。
松下:ありがとう。エノちゃんは?
繪野:東京来たのが7年前くらいなんですけど、バイトしながら全てをスタジオに使うくらいアホほど入ってて、1日6時間から8時間ぐらい毎日ずっとみたいな。食費も全然使わずに。その時に大事にしてたのは、絶対に自分の音を録って音源と合わせてみたりハマリが良いとか悪いとかずっと研究してて。絶対にみんなそれぞれ個性があるので、自分の個性を崩さずにいかに歌とか他の楽器とアンサンブル出来るのかっていうのをずっと模索していました。やってる人も全然いると思うんですけど、その練習方法が自分の中でかなり重要な経験になってます。
松下:なるほどね、ありがとう。今4人に話して貰ったけど、それと同じことをぶっちゃけ全てのプロ目指してるドラマーがやってると思うんだよね。みんなが一流になりたいわけだし。でも現実としてみんなそこに到達できるけじゃないし、努力だけじゃダメ。センスだけでもダメだし、色んな出会いとかラックを持ってるかどうかとかさ。自分が何でこうなれたのか、今の自分がいるのはこれがあったからとか、それを自信を持って言える人っている?
一同:(熟考)
松下:俺の中ではここの全員超スペシャルだから、はっきり言って全員が俺よりドラム上手いと心の底から思ってる。何かあるっしょ?
竹村:僕はなるべく「竹村仁」っていうブランドを崩さないように活動していて、やりたくないものはやらないっていう、それしかありません。
松下:大事だよね。それって若さとか関係ないもんね。これ最後ぐらいに誰か言ってくれるかなと思ってた!ありがとう(笑)
一同:(笑)
松下:君らの世代ってみんなまずは「俺、何でもやります!」って安くても現場を知りたいって何でもやるのが吉と思ってるけど、絶対に違うんだよね。マジ断った方がいいのとかいっぱいある。俺はそのチョイスが全てだと思ってる。PAYが良いギグでも仲間とセッションする方が価値ある思ったらそっち行く。勿論その逆もあるけど仕事の大小に関わらず「やる価値があるか」で判断する。あとは責任。今でもずっとそう。
松下:最初君らを知ったのは駿と飲んでるときで「マサナオさん、こいつヤバイっす。泉のようにフレーズが湧いてくるんですよ、この人達」って言われて、「こいつらマジで上手くない?」って話しで2人で30分くらい動画見てて。それから速攻で連絡して遊びに行ったじゃん。あれはこっちから会いに行ったパターンだけど、チャンスはどこにでもあると思うんだよね。あの後、千昇は結構景色変わったでしょ?
松浦:そうですね、だいぶ変わりました。
松下:千昇はエグイくらい聞いてくるの色々と。そのハングリーさが半端なくて、今時いない先輩を使うのが上手いやつ。面倒くせーなって思う時があるくらい(笑)「この日、空いてますか?」「何?」って言ったら、「僕のワンマンライブがあります!」みたいな…(笑)まぁ空いてたら行くけどさ。
松浦・一同:(笑)
松下:逆に俊亮はそういう感は無い。だからこそこっちが気になって、今何やってるんだろってインスタ見たりとかしちゃって。そういう惹きつけるものがみんなにはそれぞれあって。新しい動画上がってたら必ず最後までチェックしてるよ。繪野はメジャー現場で多忙にやってても未だにドラムを習ってるっていうそのストイックさが他の日本ドラマーには無いと思うし。今は特に(収録時は2020年12月)コロナの影響で仕事が少なくて大変な時期ではあるけど、みんなは本当ありがとう。それぞれのプロジェクトで現場で早く会いたいね。これが自分だってやつやってる瞬間を見たいです。それまで生き残りましょう、みんなで(笑)今日はありがとうございました!
一同:ありがとうございました!!
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【参加者】
・Dr. 上原俊亮
3歳でドラムを始め、10歳で”りんけんバンド”に加入。りんけんバンド卒業後、18歳でバークリー音楽大学入学。2019年春に上京後、幅広い音楽シーンで活躍中。
2020年にベーシストの森光奏太とのユニット“Spice rhythm”結成。Anly、Kan Sano、片寄涼太、門脇更紗、石嶺聡子、小野塚晃, etc.
Instagram:@shunsukedrums
・エノ マサフミ
兵庫県神戸市出身。17歳からドラムを始める。大学卒業後上京し、村石雅行氏に師事。2016年ドラムマガジン第15回誌上コンテストにてセミプロ、レッスン・プロを対象としたマスターコースでグランプリを受賞。現在も様々なアーティストのライブサポートやレコーディングなど、多岐にわたって精力的に活動中である。
RADWIMPS、BiSH、yama、MORRIE(敬称略)等
・菅野颯(カンノ ソウ)
1997年9月11日生まれ。23歳。北海道帯広市出身。14歳よりドラムを始め高校卒業後上京。セッション等のさまざま活動を行う中、高木祥太と出会い、バンド「無礼メン(現在:BREIMENに改名)」に加入。
現在はさまざまアーティストのサポートを勤めつつ、BREIMENのドラマーとして精力的に音楽活動を行う。
Instagram : @osukanism
・関根豊明
1996年9月11日生まれ。東京都出身。11歳でドラムを始め、大学で洗足学園音楽大学ジャズ科に入学。学生時代よりライブ活動などを精力的に行い、大学卒業後プロとして活動を始める。Jazzライブを軸に、Funk,R&B,Popsなど幅広く活動中。
TVCMや映画などをはじめとするスタジオレコーディングも行なっている。
Instagram: @toyoyoaki
・竹村仁
1999年12月14日生まれ。21歳。大阪府出身。14歳よりドラムを始め16歳春に上京し音楽学校に入学。18歳で卒業後、エドガーサリヴァン、GeG(変態紳士クラブ)、荒田洸(WONK) などのサポートを務めつつ、HipHop,RnB,Pop,などの音楽に精力的に取り組む。
またオルタナティブなサウンドが持ち味の5人組ロックバンド、MEMEMIONのドラマーを務める。
Instagram:@kfootsal
・松浦千昇
1998年8月23日生まれ。7歳からドラムを始める高校卒業後、上京し本格内な活度を開始する。2019年、自身のバンド「Yukino & Glanax」を立ち上げる。
現在はLUNA SEAのGt.SUGIZOのソロプロジェクト、「SHAG」でも活動中
Instagram:@hipnopsyukino
・av4ln (kent watari)
ドラマー、プロデューサー。1993年東京都出身。オーディオサンプルとドラムを同時に操り、ヒップホップやテクノをはじめとしたビートミュージックを生み出す。人力ミニマルミュージックバンド「東京塩麹」メンバー。たなか(元ぼくのりりっくのぼうよみ)のサポートや、ギタリストichikaとの制作など幅広く活動。
アレンジャーとして、大塚製薬株式会社CM「ポカリNEO合唱 ボクらの夏」篇に参加。東京塩?としてFUJI ROCK FESTIVAL 2018出演、「そうだ 京都、行こう。」CMシリーズ「2019 春はあけぼの・日の出篇」「春はあけぼの・さくら編」のBGM編曲・演奏を担当するなど。
Instagram: @av4ln_kentwatari
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石若駿
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17歳でドラムを始め、大学卒業後に渡米し、Ralph Humphrey、Joe Porcaro 等に師事。
現地の優れたミュージシャン達と演奏を重ねながら、2年間武者修行をする。
帰国後はストレートジャズからパンクロックまで様々なジャンルで活動。
2009年に自身のバンド、Yasei Collective を結成。
2012年に FUJI ROCKFESTIVAL 出演、2013年にはグラミー賞にノミネートされた US ジャムバンド、Kneebody との Wリリース・ライヴを実現。
2014年には日本を代表するドラマー、村上"PONTA"秀一氏率いる NEW PONTA BOX と異色のツインドラムセッションを行う。また同年、凛として時雨のドラマーであるピエール中野氏のソロプロジェクト『Chaotic VibesOrchestra』への参加。
2017年には、デビッド・ボウイ最後のドラマー、マーク・ジュリアナとツインドラムでの共演、ベニー・グレブやブレインフィーダーのルイス・コール等の来日公演でゲストアクトを務めるなど、海外との交流も深い。
2018年、NYレコーディングによるヤセイコレクティブ5枚目のフルアルバム"statSment"をリリース。同年9月にはリズム&ドラム・マガジン9月号の表紙を飾る。
2020年、豪華ゲストをフィーチャーしたヤセイ結成10周年のデジタルリリースシングル絶賛配信中。
BUNCAはクリエイターや芸術家(以下:クリエイター)の「活動の幅を広げる」事を応援し、更に私達と一緒に応援してくれる支援者・ファンを繋いでいくコンテンツです。
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