ぼく脳さんってなにで生計を立てているんですか?という質問をよくされる。
まず、みんながみんな生計を立ててると思わないでほしい。僕は生計を立てていない。
神秘性を出そうとわざと喜怒哀楽を無視した表情をしたり、自由になるには全部やるか全部やらないかしかないと思って全部やったり、そのおかげで自分も周りもぼく脳が何者かわからなくなっている。職業を聞かれた場合その時一番収入を得ているものを答えるようにしているのだがここ2年くらいTシャツ屋さんと答えている。思いついたアイデアの種、例えば曲にしたほうが活きるアイデアを自分が漫画家だったとして無理やり漫画にするとかそういったことはしないようにしていて、思いついたそのアイデアの種が一番美しい花が咲く放出の仕方で形にしていたら全部やることになったのだ。さっき自由になるために全部やるというルフィみたいなことを言ったがぼく脳になった本当の理由はこれかもしれない。
今はそうでもないのだが、全部をやっている(全部をやっていない)と舐めた仕事も増えてくる。一度「謝礼はお支払いできないのですが、海の家を作ってくれませんか?」というメールが来たときは流石に就職を考えた。以前僕が「ライブハウス内に家を作ってそこで生活する」というネタをしたことがあるのだが、そのネタだけを見てオファーしてきたらしい。フリーの大工だと思われていたのだ。僕は自称何者でもない人が何者かになりたがる行為をよく理解できていなかったのだが名前が付いた瞬間に輝くものもあって、プロレスの同じ技でも必殺技の名前がつくだけで威力がだいぶ違ってくる。同じパンチじゃん、と思ったりもしたがそれが名前の力なのだと思う。みんな必殺技になりたいのだ。
僕がこのような芸風になったキッカケは大体こんな感じだと思うが、次はここまできた生い立ちを幼少時代までブレインタイムスリップして思い返してみる。中の上くらいの家庭に生まれ、母はテーブルとか時計とか懸賞で当てる懸賞王で、父は顔が将棋の羽生名人に似ていて体はムキムキという文武両道の頂点みたいな人だ。小学生からバスケをしていて、インターハイに出ているような高校にスポーツ推薦的なやつで入学した。その高校は僕が在籍していたときはとても真面目でスポーツも強く就職率も良かったのだが、昔はガラが最強に悪かったらしく体育館に裂かれたバスケットボールが落ちていたり、スラムダンクの三井とその仲間が暴れるシーンの安西先生が出てこないバージョンのようなことがよく起きていたという噂を聞いたことがある。きっとその高校で試合に出れず捻くれて今の人格が形成されたのだが、三井暴動安西不出時代に通っていたらきっと全く違う人生になっていたと思う。
高校を卒業してからすぐ某お笑い事務所の養成所に入り、ライブで次の出番の人のために舞台上をただ掃除機をかけるネタをして作家の人に「電気泥棒」と呼ばれたり(ネタの内容ではなく勝手に会場の電気を使ったことで怒られて自分が嫌われてることを察する)(僕が掃除機を使うことで会場のブレーカーが落ちた時のことを心配して怒ったことをのちに知る。確かにそれはすみませんでした。それも面白いけど)そのライブで勝ち上がったときのために用意してた2本目のネタで使うはずのローラースケートを会場のゴミ箱に捨てて帰ったりした(昭和のジャニーズで辞める時同じキレ方をした人いそう)
売れたくてテンプレみたいな漫才をしたりしていて、今までコンビを2回組んだことがある。一人目の相方は今韓国料理屋で働いてそいつにしか漬けることのできないキムチがあるらしくそこそこ稼いでるらしい。二人目の相方は「ジーコjapan!!」という芸名ですでにやばさがあふれ出しているのだが芸風がガキ使のヘイポーと一緒で「ボケ」と「驚き」でやっていた。ジーコが実家の和菓子屋を継ぐという理由で解散したのだが、数年後代々木公園のタイフェスでガパオライス屋の呼び込みをやっていたところを同期が目撃したらしい。僕と解散すると海外の料理に目覚めるようだ。
お笑いをやめてから漫画を描いて発表したりとインターネットでの活動が多くなった。
元々絵を描くのが好きという事でもなく最初はマウスで描いていたし、いざペンタブを買ってワクワクしながら絵を描いたらマウスとほとんど変わらなくて絶望した。僕の漫画は絵が説明の図にしかなっていないのでまあいいか。おじいちゃんに「これ綿棒で描いてるの?」と言われ、母に「利き手を使わないで描いてるの?」と言われた。漫画を描かなくなった今でも漫画好きですという声をたまに頂くことがあり、とてもありがたいと思う反面今の僕をどう思うのか気になる。僕がなぜ漫画を描かなくなったのかというと、まずひとつ目に、飽きっぽいからというのが理由である。基本的に僕の漫画は3コマで、起承転結のところを結転結になっている。1コマ目を描いている途中に違う漫画を描きたくなることもよくあった。ふたつ目にして最大の理由は、自分を超えるキャラを作り出せなかったからだ。僕の顔は面白い。自分の顔より面白い絵を描くのは難しい。先日とあるミュージシャンのMVでk-popのスーパースターと共演したとき、彼が歌っているところに僕が絡んでいくという内容なのだが、顔の画風が違いすぎて少女漫画にギャグ漫画が乱入して乗っ取ろうとしているような映像になっていた。
僕の生い立ちはとても波乱万丈でもないし面白いものでもない。都会生まれでも田舎生まれでもない(埼玉生まれ)ただ自分が面白いと思ったアイデアを形にし続けるだけで、アイデアに導かれて今の自分がいるのだと思う。僕の体は僕のアイデアのバーターなのだ。
芸の肥やしという言葉があるが、僕はその言葉が嫌いで、脳なめんなと思う。面白い環境にいなくとも面白いことはできる。
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