No Shortcuts Vol.1- 松下マサナオ -

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Yasei Collectiveを始め、日本の音楽業界に無くてはならないドラマーのお一人である松下マサナオさんが、BUNCAで対談形式の連載を開始!記念すべき初回のゲストは南青山の眼鏡店blincのマネージャー矢澤 直人さんです。

松下:僕の対談連載、第一回目です。ゲストは南青山にある眼鏡屋blincのストアマネージャー矢澤さんです。よろしくお願いします!

矢澤:すっごい光栄なんですけど…よろしくお願いします!

松下:この連載ではこれから色んな業界に入っていきたいと思ってる若い子たちに向けて何か後に残せたらなと思って、自分はドラマーだけどあえて他業種のトップノッチにインタビューする企画にしたいなと。

「その当時僕が思う中では日本で一番セレクトがカッコ良くてイケてるところで働きたいなって思ってここ(blinc)にいます」

松下:早速質問に入りますが、まず眼鏡屋さんのボス(マネージャー)になるまでの経緯を聞いてもいい?

矢澤:小さい頃から映画とか音楽、カルチャーが好きだったこともあって中学生時代は映画監督になりたいと思ってました。少しませてて、単館で上映されているようなインディーズの映画じゃないと映画じゃないみたいに思ってて、渋谷のシネマライズとか単館系の映画をたくさん見に行ってました。世代的には「ビッグ・リボウスキ」とかコーエン兄弟の監督作をよくみてましたね。

松下:おれもめっちゃ好きだわ(笑)

矢澤:最高っすよね。それで、映画の専門ではないんですけど大学ではメディアアート表現学科っていう新設の学科に入りました。現代アートの知名度が上がってきた頃で、当時では珍しいパソコンを使ったクリエイティブ全般を扱う感じのことを勉強していました。映画の勉強などもやってくうちに、ドキュメンタリーおもしろいなってなって。映画っていっちゃえば誰かが作った物語で、それも最高なんですけど現実世界に生きてる人たちもすごい物語を生きてる人たちがいて、そういうのを聞いてみたいな、撮ってみたいなって思って、大学3年生くらいから2年弱、インターネット放送局でインターンをしてました。

松下:へぇ~!その後は?

矢澤:就職活動で小っちゃなテレビ局の下請けの映像制作プロダクションに入社して、環境系のドキュメンタリーに携わってたんですけど、あまりにしんどすぎて1年で辞めました(笑)

松下:なるほどね。その後、眼鏡に行きついたのはなんだったの?

矢澤:すごく安易なんですけど、1番好きだったのは映画とか映像系で、その次に好きなのが眼鏡だったんです。僕、視力がすごく悪いんですけど、当時はカッコイイ眼鏡っていうのがあまり無くて…眼鏡がダサかったらどんなに服がカッコ良くてもダサイなって思ってたし、もともと眼鏡も好きで学生時代からこだわってて。地元に眼鏡のセレクトショップみたいなその当時としては珍しいのがあって。エロチカさんって今はたくさん店舗もあるんですけど、もともとは僕の地元(伊勢原)で。

松下:え~そうなんだ!

矢澤:そこのイマイっていう眼鏡屋さんがエロチカの母体なんです。そこのお店との出会いがすごい大きくて。眼鏡って知らないだけで、実はカッコイイものがいっぱいあるんだ、これ新しいな~と思ってたんですよ。それで映像の仕事を辞めて、次に好きなことを仕事にしよって思って眼鏡屋に就職したんです(笑)

松下:最初はどこの眼鏡屋に入ったんですか?

矢澤:1番最初は何の経験も無かったんでハッチっていう眼鏡屋さんに入ったんです。今でいうJINSさんとかZoffさんみたいなスリープライスでお手頃な眼鏡屋さん。1年弱働いて、その後にポーカーフェイス。もう少しセレクトショップ寄りなところで2年弱くらい働いて、ちょっとずつ違うタイプの眼鏡屋さんを経験して、ブランドのこととかいろいろ楽しいな、眼鏡の世界の奥は深いなって思って、だったらその当時僕が思う中では日本で一番セレクトがカッコ良くてイケてるところで働きたいなって思ってここ(blinc)にいます。

松下:へぇ~!じゃあ最初は一人の店員さんとして働いてたんですね。てか眼鏡業界に入ったのって割と早かったんですね。

矢澤:そうですね!入ってからはパパパっとですね。

松下:blincって俺らの周りでもみんな通ってて、ミュージシャン界隈には眼鏡好きな人とか結構いて、感度の高いちょっとこだわり持ってる人がここに来るじゃないすか。なんか、他の眼鏡屋と違う感じがするんですよね。俺も最初なんかのキッカケで来て初めて購入して、それからblincでしか眼鏡買ってないです

矢澤:ありがとうございます!もう最初に来て頂いてから6~7年くらいになりますよね。めっちゃ嬉しいです。

「作ったときの想いとかもそうだし、自己満足になっちゃいけないなって」

松下:店長になったのはどのタイミングだったんすか?

矢澤:店長ってかマネージャーになったのが4~5年くらい前ですかね。それまではマネージャー不在みたいな感じでみんなで回してて。

松下:年齢も一緒だし、相当シンクロする部分がある。俺もこの5年で少しずつ認知されるようになって。昔は自分を強く出すことばっか考えてたから上手くいかないこともあって。31~32歳から転機がきて色々上手く廻り始めた。30前半って、諦めじゃないんだけどなんか寛容になる瞬間があるじゃないですか?自分に対して。

矢澤:それすっごい思います。僕も20代の頃は自分のお客さんに眼鏡を提案とか選んだりすることを他の誰にも口出されたくないみたいな時期がありました。周りの人達にも「それ違くない?それはもうちょいこうだよね。あのお客さんにはこの眼鏡が似合うでしょ。」とか言ってて嫌な奴でした(笑)どうしてそれ出来ないの?みたいなことを30歳くらいまで言っちゃってて。

松下:尖ってたやつでしょ?(笑)すげー分かるわ。しかも理由もないじゃん?自分の確固たる自信はあるんだけど、それを後押しする自分の経験とかも大して無くて。でも感覚を信じてやってるわけでしょ。

矢澤:そうなんです(笑)

松下:もう全く一緒で、それが全くうまくいかなくて。で、その感覚を残したまま表現をもうちょっと柔らかくするっていうか、その人に伝えたいことをちゃんと伝わる方法で言わないとダメなのに、当時は「絶対これっすよ、間違いないっす」みたいな方法しかなくて。

矢澤:めっちゃ分かります (笑)言い方ひとつで受け手の感情とか気持ちって変わるし、 そこまでケアしてこそなのかなって。クリエイティブでも一般職の方でもそれは同じだと思います。映像やっていた時に自分で思っていたのが「おもしろいか、おもしろくないか」の前に、まず見る人にちゃんと(自分の思ってることを)伝えられるかどうかが大事かなって。今になっても日々の仕事で実感します。

松下:それはありますよね。クリエイティブなことをやる上で構築してって、要するにベースがあってそこにいろんなものが乗っかって作品が出来るわけじゃないですか。それと同じで眼鏡もただ売るんじゃなくて、作った人がいて、オリジナルをやるときもそれを大事にするじゃないですか。このお店も構築してったものをどうやって外に出すか、すごくストーリを大事にしてる感じがして。そこの想いがすげー影響あるんすね。

矢澤:たしかに自分たちでもオリジナルの眼鏡を作らせて貰ったり、いろんな企画をブランドさんとコラボレーションしてやったりしてるときも、そこは(ストーリー性)大事にしてますね。作ったときの想いとかもそうだし、自己満足になっちゃいけないなって。ちゃんとこっちの想いもありつつ眼鏡を掛けたい人の要望とかも考えて、そこをどう切り取って自分たちの作ったものをカッコイイって思って貰えるか。そこは意識しています。

「自分の目で見たもの、自分の五感で感じたことって積み重なる」

松下:矢澤さん的に次のターム(40代)に入る前に準備をしていることとかってありますか?

矢澤:今まで自分が吸収してきたいろんなことを周りの若い子たちにもどれだけ伝えられるかをすごく思いますね。自分一人の店ではないし。

松下:後に残していく。俺だったら単純に作品を残していくとかになっていくんですけど、眼鏡を作ってる側ではなくて販売してる側じゃないですか。さっき話にも出たスリープライスの所とか一般の人は殆どそこで買うわけで。だから眼鏡を売る為にどこか変えていかなきゃとか思ってますか?

矢澤:眼鏡業界自体は結構な頭打ちで、スリープライスとかファストファッションとかがどんどんシェアを伸ばしてきてる。しかもただ安いだけじゃなくて、例えば海外で有名なプロダクトデザイナーを起用したり、こっちの方に結構攻めてきてるんですよ。どんどんセレクトとの垣根をあっち側からすれば無くしていこうとしているし、逆に同じセレクトショップは大体どこのお店も扱ってるブランドとか品ぞろえが結構似てきちゃってるので…ちょっとつまらないんですよね。今までブリンクの1個の押しは日本でどこもやってないブランドを掘り当ててきて、僕らが知って貰うキッカケを作ったり、楽しんでもらおうってところがあったんですけど、今ってそれだとイタチごっこみたいになっちゃいます。なので、小売業の僕たちがブランドさんとかメーカーさんと一緒に新しいものだったりおもしろいものを作り上げていけるような関係に持っていかなきゃいけないなってのは思いますね。

松下:眼鏡屋さんっていう枠を超えようって思う瞬間ってありますか?例えばアパレルだとカフェとか併設当たり前になってきてたりとか。海外だと特にそういう流れがあって、線引きが曖昧っていうかみんな今はネットで買うし。どうやって路面店に足を運ばすかみたいな。

矢澤:路面店に足を運んでもらうっていう価値は特に眼鏡だと試してみないと分からないっていうのはあるし、少なくともうちのお店っていうのはただ単純にカッコイイ眼鏡を売るってだけじゃないと思っていて。眼鏡一本一本にはブランドヒストリーだったりデザインソースとかいろいろ話してみないと分からないこともあるし、フレームの裏に隠されたストーリー込みで提案してます。知って貰った上で買うとお客さんの心に深く刺さるものになるのかなって。そういう体験がして頂けるかなと僕は思っています。ここはすごく大事にしている部分です。

松下:最終的には人対人ってことですよね。

矢澤:ですね。絶対なるかなって思ってます。

松下:CDが売れないって状況も全く同じで、全部の業界が同じ方向にいってて。CDが売れないんだったら他の方法で露出しなきゃ続けらんないし、じゃあどうやってライブに来て貰うのかっていったら作品作らなきゃだし。ヤセイの場合はバンドをやりつつもサポートとかレコーディングとか所謂お仕事の部分がすごく多いのがあって普通に食えてるっていうのは結構珍しいんですよね。この音しか出したくないって根性で俺らもやっているけど。逆に外で自分たちのスキルを使うってことをどんどんやっていいんじゃないかなっていう風に変えてから結構いろんなことが起きてバンドにも還元されるようになって。とはいえ、眼鏡だとどういう風にアウトプットしていくかが難しいと思う。でもblincの場合、なんでここで買うかって言ったら矢澤さんの存在がすごく大きくて。別に良い眼鏡屋っていっぱいあるわけじゃないですか(笑)それでも他のお店に行っても買わないし、blincに来て試してみて気に入ったのが無ければたぶん探してくれるっていう安心感もあるし。だから最終的には人と人ってところなのかな。

矢澤:そこはあるかもしれないですね。

松下:この対談のテーマもそうなんですけど、俺らの下の世代(ルーキー)がどうやって業界に入ってったらいいのか、その後どうしたらいいのかっていう核心に触れたいっていうのがあるんだけど、結局全部家にいて当たり前に手に入る時代じゃないですか。飯から服からセックスまで全部の娯楽がワンルームとそれなりの金持ってたら手に入ってしまう。けどそれじゃ手に入んないものもある。俺だってアメリカ行ってなかったら今の自分は成立してないし。最近よく言ってるけど、どんどん外に出て人に会うのがいいと思うんすよね。なんだかんだで。家で全部が揃ってしまう時代だから、原点回帰みたいに言う人はいるけど単純に足一歩踏み出さないとなんも始まんないし、外が暑いか寒いかも分かんないのに何が言えるんだろうって思っちゃう。

矢澤:それはたしかにめっちゃ思いますね。

松下:ドラムの練習するのと同じくらい人と顔合わせたり飯食ったり人のライブ見に行ったり。ライブハウスとかで人を見てどれだけ自分が足りないかってのを見て欲しい。YouTube見ても分かるけど、ライブハウスだったらこんなに音がすごいんだ、美しいんだってのを体感できる。矢澤さん、これから眼鏡の仕事に関わりたいっていう若者達にメッセージとか伝えたいことってありますか?

矢澤:なんでもそうだと思うんですけど、眼鏡の勉強だけしない方がいいってことです。それ以外のいろんな人生経験をして、いろんなことが巡り巡って僕は今の自分と他の人との違いが出てると思うんですよね。無駄だと思うことを若い人はやってみて、松下さんも言ってたように(外に)足を運んだ方がいいなと。経験というか、自分の目で見たもの、自分の五感で感じたことって積み重なるから。

「僕だったらそういう沢山ある中で、そうじゃないところで買いたい」

BUNCA渡邊:話の流れでちょっと聞きたかったんですけど、質問してもいいですか?

松下・矢澤:どうぞ!

渡邊:若者に対して、ある程度その世代が分かるように考えながら導いていくみたいなのが今のスタンスって仰ってたんですけど、昔の美徳としては背中で見せるというのもこれまではあったかと思うんですけど、そういうスタンスは今は通用しないってことですかね?

松下:どうなんだろう、難しいですね。断言はできないけど、結局背中を見せるって言葉自体が今はもうわかんないでしょ。背中になんか書いてあるんすかみたいな。

一同:たしかにそんな切り替えしの仕方しそう(笑)

松下:背中見ろってさ、行動で見せるっていうのは勿論あると思うんですけど、でも本当にビックリするくらい分からない子が多いから。こうやってんじゃんって言って見せても、全く違うことやるから…。

渡邊:それって、いつの時代もそうなんすかね。それとも、今が劇的に変わってるって印象あります?

松下:僕らがそういう時期だった頃は、怒られても文句言えなかったっす。でも今はたった一回のツイートで干される可能性だってあるわけだし。言葉はやはり大切で…めんどくさかったらお前めんどくさいって言うし、もう来なくていいって言うけど、センスある子が俺の一言で何か変わっちゃうんだったらそれは良くないからちゃんとケアしてあげないと。

渡邊:なるほど。付随してなんですが、最初の方に言葉はちょっと違うんですけど「尖ってた」と言うか、ある種自分よがりだった頃から変わった時期があって今に至ってると思うんですけど、そのキッカケとか転機って何かあったんですか?

矢澤:僕は…今の嫁さんと逢ったからですね(笑)生活の中で一番長い時間を占めるじゃないですか。「嫁さん」とか「彼女」とかって。その人と最初はお互い好き合って「恋愛」って感じだから、もうお互い相手の良いとこしか見えてないけど、「暮らし」たりするとお互いの粗とか見えてくるし、嫌になっちゃうこともあるし、でもそこをどう上手いこと楽しい時間に持ってくかとかポジティブな方に持ってくかみたいな。仕事の時とかも僕は自分が言いたいこと言って「お前これ違うだろ」とか言ってたけど、でもそういうのってちょっと違うよな、みたいな。そういうのを気づかせてくれたのはウチの嫁さんかなとは思いますね。

渡邊:めちゃくちゃ愛のある話に(笑)楽しい時間、ポジティブな方にどうやってもっていくか?って僕も30代入ってから考えるようになったと思います。モチベーションの維持とか、前に進む活力ってメンタルコントロール必須ですもんね。brincさんってブログを沢山アップされてるじゃないですか。宣伝目的とか知ってもらうための作業の一つだとは思うんですけど、クリエイティブに作り込まれてますし何か特別な理由とかってあるんですか?これもタフな作業なので、継続するメンタルコントロール大変そう(笑)

矢澤:やっぱり眼鏡の写真だけ撮って、価格とブランド名載っけて、お客さんが来てくれるんだったら別にそれでウチやってると思うんですけど、それやってるとこってい~っぱいあるじゃないですか。で、僕だったらそういう沢山ある中で、そうじゃないところで買いたいし、売り場が記事やってるんですけど、そういう裏側と言うか、デザイナーさんの気持ちだったりとか自分達がかけてみてどうだったとか、いろんな角度から見られるものがあった方が、お客さんも楽しいかなあっていうぐらいの感じでやってますね。ほぼほぼ自分達でやってるので粗もありますが、そういう風にいろいろやってるとちゃんと眼鏡にも向き合う時間があるんで、発見もあるんですよね。

「本当に欲しいものしか買わないです」

松下:俺がここの店で買う1番の理由ってすげー言葉にしづらいんだけど、このメガネかけてるお陰でいい演奏が出来る瞬間を実感できるからっていうか、なんか自信に繋がる何かを得てるんですよね。

矢澤:それちょー上がりますね!嬉しいです!

松下:薄利多売のをいっぱい買うのはここ5年くらいやめていて、何にしても本当に欲しいものしか買わないです。店で何か買って、それをを誰かに紹介とかして、それで人と人がリンクするわけで、それだけでもおもしろい何かが起こるかもしれないし。blincは、俺はいつもここで買ってるよっていう行きつけのバーみたいな感じ。それが生活のゆとりになって、それが自分のパワーというか活力になってく。

矢澤:いやぁ~そういう瞬間があったってのが嬉しい。聞けてよかったです!

松下:これだけは持っていたいとか自分で頑張って買ったんだって大切な何かはいつかパワーくれる。LA行ってたときにずーっと超貧乏で、それでも欲しくてどうにか買ったカーハートのパーカーはもうボロボロで穴だらけだけど、それだけは引っ越しても必ず飾ってる。それを飾って、あん時は大変だったけどやり切ったぞって…俺の墓みたいで、あそこで一回死んだぞって(笑)それを見ると。だからこそ今があるし。眼鏡も多分そういう風になっていくだろうし。本当にね、ここで買ったお気に入りのやつ、折れてもなにしてもずっと直して掛けてる。

松下:イングランドのおじいちゃんがずっと一人で作ってるやつ。

矢澤:元々は70~80年代にブランドをやられてた方なんですけど、一回それは無くなって。その後は特になにもやってない普通のおじいちゃんとして暮らしてて、うちが声を掛けて作って貰ったブランドなんです。

松下:すごいオーソドックスな形なんだけど、超、超掛け心地が最高。

矢澤:この眼鏡に関してうんちくを語りだすとこっから更に30分くらいは話せます(笑)

一同:(笑)

矢澤:このブランドのデザイナーはローレンスジェンキンっていうんですけど、ローレンスジェンキンの手仕事でしか出せない質感っていうのは間違いなくあって。細かいことをいうと薄いのに角がちょっとエッジかかってるところとか、ボストン型って形なんですけど、ボストン型のマスターピースというか…めちゃくちゃ綺麗な形なんですよね。

松下:しかも鼻パッドを直さなくても日本人の顔にすごいフィットするんですよね。

矢澤:そうなんです。ちなみにそれは日本の鼻パットをローレンスさんに見本付けて送り返したんですよ(笑)

松下:え~!だからか。だってボストン型さ、殆ど鼻の部分が浅くて日本人に似合わないんだよね。鼻が高くないと。

矢澤:ローレンスジェンキンはイギリスのクラシックの眼鏡界を作った偉人の一人なんです。眼鏡業界的には。

松下:あとサヴィル・ロウもすごくいいです。これも同じく向こうのやつですね。これのラウンド形のやつも2本目かな、ここで買ったの。

矢澤:マサナオさんがやってる音楽がイギリスっぽいとか単純にそういうのじゃないと思うんですよ。でもマサナオさんの気持ちとかフィーリングにハマるのかな。

松下:眼鏡は体の一部!皆も自分の一本見つかるといいすね!本当に今日は話せてよかったです。ありがとうございました!

「あとがき」

BUNCAでの対談シリーズ”No shortcuts”始まりましたねっ!

早道なんてたぶんないっしょっ。てことでこのタイトルにしました。

このシリーズ、これから各業界のトップノッチ達にインタビューして、どうやって今のポジションにたどり着いて、これからどこに向かいたいのかをリアルに聞きたいと思ってます。

これから何かしらのクリエイティブな仕事につきたいと思ってる人の助けに少しでもなったらいいなと!

俺も全然ルーキーだけど、怖い先輩達の手がとどかないくらいたかーーいたかーーい棚の上に自分のことあげてこのプロジェクトを楽しもうと思ってます!

どうぞよろしくっ!

初回ゲストはblincの店長矢澤さん!メガネないと俺生きてないんで、そこはやっぱこだわりたいじゃない。

かなりDEEPなことまで聞いてきました。次回もお楽しみにー。

撮影協力:blinc外苑前
対談者:矢澤 直人
話し手:松下マサナオ
撮影/編集:BUNCA

対談者PROFILE

blincマネージャー:矢澤 直人

FavoriteMovie:
「スモーク」「ダウン・バイ・ロー」「200本のたばこ」。

FavoriteArt:
「佐伯祐三」「エドワード・ホッパー」

FavoriteMusic:
パンク、ハードコア、速くて短くて踊れる音楽。もちろんヤセイコレクティブも!

FavoriteFashion:
代々木上原の「12XU」と「Color at Against」、淡島の「HAg-Le」に昔からお世話になっています。

FavoriteBook:
ポール・オースター、アラン・シリトー、ラングストン・ヒューズ、谷川俊太郎、中島らもなど。

FavoritePhoto:
A:スティーブン・ショアー、ボブ・リチャードソン、細江英公の「鎌鼬」

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Shop:blinc外苑前

ブログ:http://blinc.co.jp

〒107-0062
東京都港区南青山2-27-20
植村ビル1F

TEL:03-5775-7525
FAX:035775-7526
Email:shop@blinc.co.jp

営業時間:平日12:00–20:00
土日祝日11:00–20:00
定休日:月曜日
(月曜日が祝日の場合は営業。翌火曜日が休み)

Author Profile
松下マサナオ
長野県飯田市出身。
17歳でドラムを始め、大学卒業後に渡米し、Ralph Humphrey、Joe Porcaro 等に師事。
現地の優れたミュージシャン達と演奏を重ねながら、2年間武者修行をする。
帰国後はストレートジャズからパンクロックまで様々なジャンルで活動。

2009年に自身のバンド、Yasei Collective を結成。

2012年に FUJI ROCKFESTIVAL 出演、2013年にはグラミー賞にノミネートされた US ジャムバンド、Kneebody との Wリリース・ライヴを実現。

2014年には日本を代表するドラマー、村上"PONTA"秀一氏率いる NEW PONTA BOX と異色のツインドラムセッションを行う。また同年、凛として時雨のドラマーであるピエール中野氏のソロプロジェクト『Chaotic VibesOrchestra』への参加。

2017年には、デビッド・ボウイ最後のドラマー、マーク・ジュリアナとツインドラムでの共演、ベニー・グレブやブレインフィーダーのルイス・コール等の来日公演でゲストアクトを務めるなど、海外との交流も深い。

2018年、NYレコーディングによるヤセイコレクティブ5枚目のフルアルバム"statSment"をリリース。同年9月にはリズム&ドラム・マガジン9月号の表紙を飾る。

2020年、豪華ゲストをフィーチャーしたヤセイ結成10周年のデジタルリリースシングル絶賛配信中。
Yasei Collective,Gentle Forest Jazz Band, HH&MM(日向秀和×松下マサナオ)
  二階堂和美、ハナレグミ、藤原さくら、東京03、バナナマン、cero、mabanua、kid fresino、前野健太、NakamuraEmi、日向秀和(ストレイテナー)、Toku 他多数
No Shortcuts Vol.1 - 松下マサナオ -
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