絶望名人 天使弾道ミサイル- 天使弾道ミサイル -

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「変態映像作家」と名乗る天使弾道ミサイルさん。作品のテーマとその正体は一体何なのか? 「絶望名人」と自身を呼ぶに至るまでの壮絶な過去とはどのようなものだったのか? 一読の価値アリです!

はじめまして。映像作家の天使弾道ミサイルです。

ぼくの映像には「顔が歪んだ人間」などの「異物」がよく登場し、<不条理>をテーマに映像制作しています。
果たしてその<不条理>とは何なのか??
結論から言ってしまうと、「圧倒的な他人との乖離」です。
幼少期からその絶望を感じて生きてきた、憎悪の産物がぼくの表現というわけです。

このコラムでは映像の作り方や、方法論は一切語る気はありません。 「何を作りたいか?」という明確な意志がなければ、方法論は一切意味を持たないので、如何にして<意志が明確になった>かを過去を振り返りながらここに纏めたいと思います。

幼少期、ぼくはずっと1つの違和感を感じてました。
父親と名前が違うのです。
後に気づくのですが、ぼくは不倫で身籠った子供として産まれてきた「私生児」です。
小学校当時は特に卑屈になることはなかったのですが、転校も多く所謂「普通の家庭」とは違っていたので、小学校低学年からぼくは<普通>ということに異常に固執するようになりました。
<普通>というのは脳が作り出した物事を安全に動かすための平均値みたいなもので、その平均値を疑う癖が子供の時に身に付きました。

つまり映像制作する際に全ての前提条件を疑って取り組むので、なんのバイアスもなしに思考することで<オリジナリティ>が生まれるわけです。

ではどういうことが僕の人生に起きてたかというと

・親の不在
・親の借金の取り立て
・いじめ
・自殺未遂
・父親の逮捕
・兄の逮捕
・彼女の自殺未遂

ざっくりとこんな感じで、家族に関係することがほとんどです。

つまり僕は家族と向き合うことで<自分がどうありたいか>を明確にできるのでそこに意志が産まれて映像がつくれます。
そこにノウハウや方法論は一切いりません。

ぼくは作品に人が予測できない演出をよくいれるのですが、これは<親の不在>に起因しています。ぼくが幼稚園児のころ、親はよくケンカをしていました。(小学校の時に親は別れます。不倫なので離婚という概念はないです)
二人の間を取り持つために道化を演じておどけるのですが、かえって二人を逆上させ、叱られました。その時に道化癖がついてしまい、「空気を読まない」というのが自然とできるようになりました。
僕は自分の作品の空気すらも読まなくなりました。

作品を構成する際に100%ロジカルに意味を熟考してつくるのだけど、土台が出来上がり次第、論理的思考を一切排除して情緒的に作り上げます。

情緒というのは論理を破壊してくれます。
なぜ論理を破壊したいのかというと、自分の中にバグを溜めこまないといつまでも僕がアップデートしないからです。論理というのはルールで情緒はカオス。これは簡単に説明するとワクチンを注射するのと同じです。

父親と母親の性格は真反対でした。
母は所謂「普通のお母さん」
社会のレールを走れタイプで、父親はその真逆の破天荒タイプで個人で貿易をする社長です。

その2人はいつも僕に真逆のことを教えてくるので、当時は困惑して何が正しいのか分からなくなって自殺未遂までいきました。
子供からすると親は神のような存在です。
その神が2人いて別々のことを言うのだから、ルールや秩序に対して嫌悪感を抱くようになります。当然社会のルールにすら疑問を持つようになるので、小学校時代は特に不良というわけではないが、万引きや、親の金をくすねたり、友達を鉛筆で刺す、公共物の破壊などを繰り返していました。

小学校時代は本当に訳がわからなかったです。
親はいないし、お小遣いもないので友達と同じように遊ぶこともできない。
人との<違い>を徹底的に叩きこまれました。

この<違い>というものも僕の人生のテーマです。
違いがあるからこそ愛を持てるし、違いがある故に人は傷つきます。

現代社会では人と同じ行動がとれない人は<悪>とみなされます。
ルールにも問題はありますが、人と違う少数派の人間の意識にもかなり問題があり、人と<違う>からといって特別でルールを壊していいわけではありません。
小学校時代は「自分が人と違う故に特別だ」という誤った認識をもっていたので、そういった暴力行為を繰り返していました。

この時点でぼくは幼稚園二つと小学校三つを経験していたので、人は集団になった途端に、個人の意見を尊重せずコミュニティの論理で人が動かされていくことに気づきました。
なので人と一緒に何かをするというのが嫌いで中学校にはほとんど行かなくなります。

学校に行くフリをしてはブックオフに行って、アンダーグラウンドなCDや書籍を漁っていました。中学一年生の時にマリリン・マンソンと出会ってすごく衝撃を受けたのを覚えています。
モラルを破壊しつつも人から賞賛されてる姿に感銘を受け、自分のなりたい姿が徐々に形づくられていきました。
その当時はデスメタルやブラックメタルからノイズミュージックなどのアンダーグラウンドミュージックを掘り下げ、ホラー映画ばっかり見ていました。

日常生活と乖離が激しいものを好んでいたので、異質なものに僕は落ち着きを感じるようになりました。学校にはほとんど行ってないので、勉強はできないしスポーツもできないのでこの時点での特技はゼロで、自分が人より劣っていることはよく自覚していました。

何とか高校には行ったが、高校三年で人と一緒にいることが遂に耐えられなくなり、学校を辞めることを決意したが、定時制の高校を進められて卒業しました。
(この間に親の借金の取り立てや、夜逃げなども経験)

さてここからが地獄です。
高校を卒業してから何もやりたいことがないし、特技もゼロでオマケに世間を見下しているので普通に働くことができない。働く意味がわからない。
「生きていたい」という欲求が限りなく希薄なので、お金がいらない。

当時は母親と二人暮らしで完全な引きこもり状態です。
そうなった人間が行き着く先は自殺しかありません。
「自分が不幸なのはすべて自分が悪い」と考えるほうが楽になり、生きることを徐々にやめていきました。
エスタロンモカという無水カフェインの錠剤を飲みまくって、左手や腹部を包丁や剃刀で切りつける日々です。いまでも僕の左手と腹部には無数の傷があります。
ぼくは愛されたかったのです。

ここで1つの自分を変えるキカッケが生まれました。
「一人暮らし」です。
兄が借りていたマンションをそのまま引き継ぐ形になりました。
(親が違う兄、血の繋がっていない兄を含めて、4人兄弟の末っ子です)
一人で生活してみると全てのことは自己責任で、社会のせいにしてはダメだし、安易に自分のせいにするのも思考停止でしかないことに徐々に気づきました。

世間を見下しながら働ける職場を探しエロビデオ屋で働くことになりました。店員も暗い人が多く、お客さんも陰湿な人が多いので「何とかここなら自我を保てる」と思いました。
そのうちに店を一人で任されることになり、今までの人生がアンコントローラブルな状態が多かったので「やりがい」というものを初めて感じてしまいました。

当時は23歳。
ここでやっと映像を始めます。

キッカケというものは特になかったし、もちろん映像の知識なんて一ミリもありません。
急に「映画をつくろ!」と思いました。
「今日は寿司が食べたい」ぐらいのノリですごく情緒的で、目的なんて一切ありません。

この事から学べるのは<行動には理由があってはいけない>ということです。
例えば「お金持ちになりたい」や「異性からモテたい」という理由は何らかの結果を期待しているので損得で思考しているように思えます。
損得で思考すると想定したフィードバックが得られない限り、自らの行動に正当性を持てなくなってきます。

結果を期待していないので、映像を作りづづけることができたし、知識なしでも困ることはなかったです。

20分の映画を一本作って、初作品をyoutubeにアップしたら、バンドからMVのオファーが来ました。ここからMV人生のはじまりです。
自分がわがままに作った作品がいろんな人に評価されて、お金ももらえるのだから不思議な気持ちでした。

エロビデオ屋から転職し、非合法な女の連れ込み部屋で働きながら、 大麻,コカイン,MDMA,DMT,LSDなど違法薬物も経験しました。

この辺りで父親が詐欺で逮捕され、兄は薬物で精神病院に入り、 ぼくは結婚しました。

陰湿なぼくでしたが、一部の物好きな女の子から声をかけられることも多くプロポーズもされました。ぼくは生きることが非常に辛かったので女の子という存在がとても面倒で、結婚さえすればそういった色恋から解放されるとおもい、年齢が11個上の女性と結婚しました。10代の頃はあれほど愛に枯渇していたのに、それを手にした途端ぼくは異様な空虚感に包まれました。「このまま幸せになっていいのか?」 現在の幸福で過去の不幸を誤魔化すことに耐えられなくなり、僕は人生におきた<不条理>と向き合うために<不条理>を表現することを決意し、一年で離婚しました。

そこからは映像以外は何も見えなくなり他人を傷つけまくりました。 離婚後に付き合った彼女も精神を病んで自殺未遂。
兄は薬物でおかしくなって生活保護になりました。

ぼくも完全にここからおかしくなり、「金持ちになって他人からの評価を得さえすれば良い」と思い込んでしまいます。この考えに憑りつかれたぼくに皮肉にもどんどん仕事が増え、お金も増えていきます。 他人からチヤホヤされるしお金もあるが、ぼくは全く楽しくないのだ。

人生にはある<到達点>みたいなものがあって、そこに行きさえすれば幸せになれると思っていたが、そんなものはないし、到達点に向かっている間は常に欠損を抱えた感覚に陥る。
到達点は常に「今」でないと人は幸福になれないことに気付きました。

それを教えてくれた女性がいて、愛や幸福は外部から取得するものではなくて、愛をもって相手に感謝した時に自分の中に幸福感が生まれることに気付きました。
そんな優しい気持ちになれたのはその女性といた時だけで、あらゆる自分の中の洗脳が解けました。
映像で人に何かを伝える前にまず自分のことを救ってあげないと。 ぼくは幸せになる覚悟を決めたがその女性からはフラれました。

ここからが僕の人生の始まりです。

2020年9月9日29歳現在、ぼくはこのコラムをネットカフェで書き上げようとしています。ぼくは半月前まで絶望していました。

自分を見つめることで、自ずとやり方なんてのは見つかります。
自分の人生に何が起きたかはさほど重要ではなく、それに対して「何を感じたか」に敏感であれば映像なんて簡単につくれます。

こういった思考のプロセスを経て、ぼくの意志は明確になりました。

ご一読頂きありがとうございました。

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Author Profile
天使弾道ミサイル
変態映像作家。<不条理>をテーマに映像を制作。
肩書や評価に対して懐疑的なので、略歴は控えさしていただきます。
映像で判断してください。
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