はじめまして。
現代アートギャラリーに勤務しながらTikTokをメインに活動する動画クリエイター:Aviです。
@mimibi301 【音声が消えてしまったので再掲です🙇♀️】クロード•モネ #アート #耳で聴く美術館 #TikTok教室 #美術館 #モネ ♬ 天使のくれた奇跡 – LIBERA
このような感じでアートに触れてこなかった人たちにいかに芸術を気軽に楽しんでもらえるかを考えてながら、アートを紹介する一分以内の動画を発信しています。
昔、私がまだ二十代前半だったころ、恋人の誕生日を祝うため一日のデートプランを練ったことがある。
一日の終わりに過ごす、夜景の見える素晴らしいレストランは決めた。
それまでどうやって時間を過ごそうか?
「美術館とかいいんじゃないか?おしゃれなデートって感じ!」
というような安直な考えで、近くの美術館をプランに入れた。
私は彼の美術の好みもろくに調べないまま、ただ近くの美術館に行こうと決めた。
いよいよ当日、美術館に行くまではよかった。
美術館を出てから、恋人はまるでバイキングで食べ過ぎて、気持ち悪くなっちゃった人のような真っ青な顔をしていた。苦虫を嚙み潰したような顔をして、最寄り駅まで口を聞いてくれなかった。
そりゃそうだ。
私は沢山のミスを犯していた。
後から聞いてみれば、恋人は普段美術館には行かない人だったとのこと。
日本でも前衛すぎる(恋人に言わせてみれば意味不明な)美術館に連れて行ってしまったのだった。
その後も休みの日などに、「美術館でも行ってみる?」と誘うと必ず「NO」と言われる。彼を美術館嫌いにさせてしまった代償は大きい。
〇美術館はマッチングアプリと同じである。相手のことをまず知ろう!
まずは相手のことを少しでいいから知ろうとしよう。
細身黒ぶちメガネ男子が好きなのに、プロフィール写真もろくに見ずに会ってみたら、金髪イケイケ兄ちゃんだった時は焦るだろう。
これと同じで(どれとおなじで!?)美術館に行くときも、どんなジャンルの美術館だけは調べておいて損はない。
美術館にもジャンルがある。日本画に特化している美術館や、現代アートの作品を多く収蔵している美術館などである。
また、自分のタイプを把握しておくことも大切だ。
先に述べたように、細身黒ぶちメガネ男子が好きよ。といった風である。
例えば「私は、現代アートよりは印象派かな?モネとかも好きだな。日本画はビミョー。」という方は、印象派の作品を収蔵している美術館に行くべきなのだ。
ただし、美術館に行き慣れた方は、自分の好みではない展覧会に行ってみると思わぬ「好き」に遭遇できるのでおすすめである。
〇美術館での最高の体験とは
私は今年、美術館で素晴らしい体験をした。
2022年2月2日。長年の構想を経て遂に開館した大阪の中之島美術館。
その開館日に私は駆けつけた。
新しい美術館で吸い込む空気は最高だった。
美術館には鴨居玲の「街の音楽師」という絵画があったのだが、私はその絵画の前から動けなくなってしまったのだ。
まるで金縛りにあったような、素晴らしい体験だった。
周りの音は消え、そこには私と鴨居玲の作品しかなかった。
「お前はわかるか?私の苦しみや、歓び、狂気、そして、悲しみを。」
そんなエネルギーがビリビリと絵画を通して語り掛けられるようだった。
鴨居玲は私が生まれる前に亡くなっている。
美術品の楽しみ方は時空を超えて、画家と対話が出来ることだと私は断言する。
このような素敵な体験は、私が鴨井玲についての前知識を持っていたから、実現したことである。彼の書籍を読み漁り、どんな人物だったか、どんな生き方を、そしてどんな死に方をした人物なのか、調べていた。
美術作品は、作品や作者について何も知識がなくても楽しむことはできるが、私はぜひ少しでもいいから知識を入れてから観たほうが良いと思う。
同じお金、同じ時間をかけるのなら、美術館にせっかく来た時間を有意義なものにできたら素晴らしい。
また、大きな展覧会では数百円で音声ガイダンスを借りることができる。
俳優さんなどが耳触りの良い素敵ボイスで、作品について分かりやすく解説してくれるので、それを聴きながら展覧会を回ることができるのだ。
十分に楽しめた展覧会というのは、何年も自分の記憶の中に留まり続ける。
ぜひ、そんな体験をしていただけたら控えめに言ってサイコーだと思う。
〇美術館では順番通りに作品を観なくてもいいし、全部観なくてもいい
私は美術館に行くとまずは展示室全体を見渡す。そして、目に留まった作品のところへふらふらと歩いていく。
作品に近づいてみたり、すこし離れて眺めてみたり、なんでこの作品は魅力的に映ったんだろうと作品と対峙する時間を取るようにする。あまり惹かれない作品はササっと前を通り過ぎ、また違う惹かれる作品を探しに行くのだ。
時には、あの作品良かったからもう一度観てから帰ろう!と部屋を戻ることもある。
先に述べた鑑賞の仕方は人が展示室内に少ないときだからこそできることでもある。人が少ない時とはいつか?
それは、美術館の閉館一時間前である。
私は数年間、美術館で働いているが、人の流れを見ていると、混雑するのは朝の開館時間直後とお昼を少し回ったくらいだということが分かった。
曜日としては圧倒的に、土日祝日は人の数が多い。美術館によっては曜日を決めて夜間開館をしている美術館がある。もし夜間開いている美術館があるならば、夜に行くのがお勧めである。
せっかく美術館に足を運ぶのだから、ゆったり観れる時間を把握しておくことも楽しむためのスキルだと思う。
美術は誰かの特権物でもないし、美術館はどんな人にも開かれた空間である。
ぜひ、作品と対峙する時間をあなたの日常の生活の中に、取り入れて、心が豊かになれば、素晴らしいと思う。
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